ここから本文です

激化するロケットビジネスー勝敗の決め手は?

6/1(木) 18:30配信

WIRED.jp

低コストで存在感を強めているイーロン・マスクのスペースXと、安全性を売りにする大手のユナイテッド・ローンチ・アライアンス。米国における商業ロケットの二大企業が激しい火花を散らすなか、勝敗の鍵を握るのは「低コスト」なのか、それとも「安全性」なのか。

勝敗のカギは【低コスト】or【安全性】

2017年の幕開けは、米国の宇宙産業、特に商業ロケットを打ち上げる二大企業にとって厳しいものだった。2月にはユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)が、2017年末までに400人の人員削減をすると発表。そして、イーロン・マスク率いるスペースXは、ロケット「ファルコン9」に欠陥が見つかり、燃料ポンプのファンに亀裂があったことを政府の調査団が報告している。

商業ロケットの打ち上げも他の業界と全く同じで、コストの削減と利益の最大化を追求しているのだ。ULAは人員のスリム化を目指しており、SpaceXの欠陥はロケット製造を合理化しすぎたことを示唆している。前者はロッキード・マーティンとボーイングの衛星打ち上げ部門を統合して2006年に誕生した大手資本の会社で、後者は2002年創業のベンチャーだ。生い立ちに違いはあれど、コストを削減し、利益を最大化しようと全速力で走っていることに変わりはない。

ULAとスペースXの2社が特に重要であるのは、どちらも政府と契約をしているからだ。米衛星産業協会の調査レポートによると、宇宙産業の2015年の市場規模は3,353億ドル(約37.2兆円)。ロケット打ち上げビジネスが占めるのは54億ドル(約6,000億円)で、そのうち69%が各国政府との契約だった。

スペースXは2016年4月、米空軍からGPS(全地球測位システム)を使った偵察衛星の打ち上げを受注した。契約総額は8270万ドル(約92億円)で、2018年5月に打ち上げを予定している。軍事衛星の打ち上げを10年以上受注してきたULAは唯一の競合だが、この入札には参加しなかった。ベンチャー企業が大手の独占分野に風穴を開けたとして、注目を集めたのは記憶に新しい。

1/2ページ

最終更新:6/1(木) 18:30
WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.28』

コンデナスト・ジャパン

2017年6月8日発売

630円(税込み)

特集「Making Things ものづくりの未来」。大量生産、大量消費の時代が終わりを迎えるなか、ヒトはいかにものと向き合い、それをつくり、使っていくのか。