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WWFが見た国連気候変動ボン会議――パリ協定の行方

6/1(木) 22:05配信

オルタナ

2017年最初の国連気候変動会議が5月8日~18日の日程でドイツ・ボンで開催されました。2015年のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択された、地球温暖化防止のための新しい世界の約束「パリ協定」。それを今後、実施していくための詳細ルール作りに関する交渉が国連気候変動会議では進められています。(WWFジャパン)

トランプ政権の姿勢をめぐり注目を集めた今回の会議も、その交渉は堅実に継続され、難航しつつも、一定の前進がみられました。

2つのトピックでの緩やかな前進

COP21で採択されたパリ協定は、気候変動の影響を抑制していくために、世界全体の脱炭素化、つまり、石炭・石油・ガスといった化石燃料に頼らない社会の構築を目指しています。

その大きな目標に向かって国際社会で取組みを進めていくために、今回の会議では以下の2つのことが議論されました。

1つは、パリ協定を実施していくための詳細ルール作りで、これはよく「ルールブック」交渉と呼ばれています。

この「ルールブック」は、2018年12月のCOP24で完成させる予定となっています。

もう1つは、2018年に予定されている「促進的対話(Facilitative Dialogue)」というイベント(後述)に関する協議です。

前者の「ルールブック」交渉は、難航しつつもなんとか前進を見せました。

分野によっては、概念的な議論から各分野の章立てをどうするのか、という議論に移りつつあります。

後者の「促進的対話」については、これがパリ協定にとって重要な機会となること、COP23でそのデザインを作り上げなければならないという認識もほぼ全ての国に共有されたようです。

議題項目にすら上がってなかった2016年のCOP22の段階からすればこれでも大きな進歩です。

ゆっくりと進む「ルールブック」交渉

パリ協定自体が大きな「ルール」と言えますが、現在交渉が行なわれているのは、分野ごとのより詳細なルール作りです。

たとえば、パリ協定の下では、各国が自分で決めた目標(排出量削減目標など)達成に向けた取組みを実施していくということが義務になっていますが、その取組みを何年ごとに、どのような形式で報告するのか、というルールなどが議論されています(下記一覧の「透明性フレームワーク」に相当します)。

議題として上がっていた項目だけでもかなりの数になりますが、主な分野としては、パリ協定特別作業部会(APA)の下で議論されている6つの議題と、科学および技術助言に関する補助機関(SBSTA)の下で議論されている1つの議題があります(下記一覧)。

APAの議題項目

国別目標(NDC)に関するガイダンス
適応報告
透明性フレームワーク
グローバル・ストックテイク
促進および遵守
その他(適応基金の扱いなど)
SBSTA

(市場)メカニズム
前回(2016年11月のCOP22)までの交渉では、各分野ともに、概念的な議論に留まっていましたが、今回の会議では、分野によっては、ルールブックの当該分野に関する「章立て」に相当するものの議論がされ始めました。

その結果は、それぞれの分野のファシリテーターによる「インフォーマル・ノート」と呼ばれる非公式文書にまとめられています。

また、次回の2017年11月のCOP23までに再度、各国からの意見提出を求めたり、ラウンドテーブルと呼ばれる、交渉ではない、やや非公式な意見交換の場を次回COP23の直前に開催することなども決まりました。

そうした今後の予定に関する決定はAPA、SBSTAそれぞれの結論(conclusions)と呼ばれる文書にまとめられています。

今後の交渉は、各インフォーマル・ノートの内容をより詰めて、2017年11月に開催されるCOP23が終了する段階で、「章立て」だけでなく、「本文」に相当する部分の下書きを議論する段階にたどり着けるかどうかが鍵となりそうです。

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最終更新:6/1(木) 22:05
オルタナ

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