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亀と山P、テゴマス……作詞家zoppが考える“続編”曲の面白さ「深読みは歌詞だからこそできる」

6/1(木) 15:00配信

リアルサウンド

 修二と彰「青春アミーゴ」や、山下智久「抱いてセニョリータ」など、数々のヒット曲を手掛ける作詞家・zopp。彼は作詞家や小説家として活躍しながら、自ら『作詞クラブ』を主宰し、未来のヒットメイカーを育成している。これまではヒット曲を生み出した名作詞家が紡いだ歌詞や、“比喩表現”、英詞と日本詞、歌詞の“物語性”、“ワードアドバイザー”などについて、同氏の作品や著名アーティストの代表曲をピックアップし、存分に語ってもらった。第10回目となる今回は「青春アミーゴ」に続いて作詞を手がけた亀と山P「逆転レボルシオン」の話題から、「続編」をテーマにzoppの作詞術についてじっくりと話を聞いた。(編集部)

■「<鳴り響いた携帯>で一気に『青春アミーゴ』の世界に飛んでいける」

ーー今回の連載テーマは「続編」です。直近ですと、修二と彰(亀梨和也と山下智久による期間限定ユニット)「青春アミーゴ」(2005年)の続編として書かれた亀と山P(同じく亀梨、山下によるユニット)「逆転レボルシオン」(シングル『背中越しのチャンス』通常盤収録・2017年)がありますね。

zopp:これまでにも山下さんのソロ曲「抱いてセニョリータ」(2006年)、「口づけでアディオス」(シングル『One in a million』収録・2011年)を「青春アミーゴ」の続編、スペイン歌謡三部作として書いていましたが、今回の「逆転レボルシオン」は12年ぶりに2人が揃うということでまさしく“「青春アミーゴ」のアンサーソング”となっています。僕はもともとシリーズ物、続編物を書くのが好きで、いつも歌詞を作るときは大きな枠組みでひとつの物語を考えるんです。その中から、今回の曲はここをクローズアップしよう、と決めて。だから実を言うと、「青春アミーゴ」を書いた時点で主人公の2人が一度離れてまた出会う、というシナリオの要素は考えていたので、今回の話を受けたときも改めて何を書こうか悩んだりはほとんどしなくて、自分の中で温めていたものを掘り出した感じですね。

ーー“一度離れる”という設定は、修二と彰が期間限定ユニットだったからですか?

zopp:もちろん期間限定ユニットであるという、現実的なことも影響があります。あとは一般的な“2人組”の物語として、喧嘩をしたりとか、色々な理由で別れることがあっても、再び交わるときにより絆が強くなる、というイメージがあったからです。設定としてはドジなキャラクターと真面目なキャラクターだったので、これだけタイプの違う2人だったら、物語の上で絶対一度は離れ離れになるだろうな、と。<大事な人のため/扉開けた>というフレーズは、一人に好きな女性ができてその人のために一度離れるけど、また2人が再会して新しい物語が始まる、というイメージです。

ーーなるほど。「青春アミーゴ」の後に山下さんのソロ曲があったので、“一度離れる”というのは楽曲の物語と現実がリンクしていますね。

zopp:そうなんです。今回の「逆転レボルシオン」は再会して思い出話に花を咲かせて終わるので、「青春アミーゴ」ほどアクションはありません。しかし、2人とも大人になったということで、フィジカルよりはメンタル面に焦点を当てて作ったつもりです。「この後2人はどうなるんだろう?」という意味深なところで終えられるのも歌の良さですよね。時代設定としては現実と同じく、「青春アミーゴ」の12年後くらいをイメージしています。

ーー歌詞の中には「青春アミーゴ」など過去の作品と共通するキーワードが多く出て来るように感じました。それがこの曲は続編である、と感じさせるポイントなのでしょうか。

zopp:そうですね。「青春アミーゴ」にも続編の「抱いてセニョリータ」と「口づけでアディオス」にも必ず<あいつ>という言葉が出てくるんですけど、それは亀梨くんのことを話しているというイメージで。今回もその言葉を使おうと思いました。以前にもお話ししたように、同じアイテムを使うというのも大事だと思いますね。今回の場合<鳴り響いた携帯>というフレーズで一気に「青春アミーゴ」の世界に飛んでいけるので。2番の最初も<たどり着いた>という歌詞は「青春アミーゴ」と一緒ですし。

ーーzoppさんが以前作詞されたテゴマス(NEWS 手越祐也と増田貴久によるユニット)の「ミソスープ」(2006年)とその続編「ただいま、おかえり」(アルバム『テゴマスのまほう』通常盤収録・2011年)と比べると、今回は「青春アミーゴ」の世界観が歌詞に色濃く反映されていて、楽曲同士の関係性がより密接である印象を受けます。

zopp:アンサーソングと言いながらも、少し匂わせるぐらいにするか、グッと近づけるかはとても悩みました。でもはっきりやった方がファンのみなさんに喜んでいただけるでしょうし、楽曲を知っている方であれば「おっ」と思うんじゃないかなというのがあったので。「青春アミーゴ」と全く同じギターのフレーズから始まるのも、歌詞があそこまで寄っているからなんですよ。これは制作チームと作詞家の「続編を作ろう」という思いが合致した時にできることなんでしょうね。ジャニーズWESTの三部作(「Criminal」/アルバム『go WEST よーいドン!』収録・2014年8月、「Can’t stop」/シングル『ジパング・おおきに大作戦/夢を抱きしめて』初回限定盤C収録・2014年10月、「Eternal」/ アルバム『 ラッキィィィィィィィ7』収録・2015年)も制作チームと続編にしようと合意した話だったので、「愛は止められない」というキーワードを3作繋いでいって。続編とはいえ曲と曲の間に空いている期間があるので、この間に何があったんだろうと妄想してファン同士で盛り上がれる。特に日本人は行間を読んだり、一見意味のないものに意味を持たせたりすることが好きなので、深読みさせる、というのは歌詞だからこそできることだろうなと思っています。

ーー“続編曲”を書かれる際の楽曲同士のちょうど良い距離感はありますか?。

zopp:続編なので登場するキャラクターは一緒なんですけど、本当に一言二言くらいしか被るワードを入れない、あまり目立ち過ぎるアイテムを出さない、というのが距離をいい具合に保つ方法かなと思っていて。一緒に作っている制作担当者は続編だって知らなくて、ただ僕が楽しんでいるだけということも多いんですよ。それが作家の特権で、時間が経ってから「実はあの曲とこの曲って繋がっているんですよ」と言う瞬間がとても楽しい。時間が経つと忘れられてしまったり、あまり聴かれなくなる作品もあると思うので、そういった作品にもう1回新鮮さを持たせられる、というのも続編を書く理由ですね。

■「物語の内容よりも、キャラクターが物語を作っていく」

ーー続編とわかるようにするにはタイトルも大事だと思います。スペイン歌謡四部作とジャニーズWESTの三部作に関してはタイトルで明らかに続編だとわかりますが、テゴマスだとそんなに続編感はない。これは曲同士の距離感や制作チームとの合意も関係しているんですか。

zopp:そうですね。「抱いてセニョリータ」を作った時には「青春アミーゴ」の続編のような曲を書こう、という制作チームとの合意があったので、2作品の間に橋渡しするようなキャッチーなキーワードがあった方がいいと考えてタイトルにスペイン語を。テゴマスの場合は2人で1人称を歌わないといけなかったりするので、そういう時はどちらかに似たキャラクターにすると片方のファンの子は複雑じゃないですか。だから手越くんとも増田くんとも違う「テゴマスくん」というキャラクターを作って、僕が勝手にずっと同じ主人公の作品を時代別に書いていただけなので、あえてタイトルに続編感を出さないようにしていましたね。続編としてではなくても生きる作品にしたかったのもありますし。ラブソングでハッピーな歌とか、失恋ソングとか、たくさん歌詞を書いていると、言えることも出て来る描写も限られてくると思うんですよ。「テゴマスくん」のように同じキャラクターにしておくと、この人は前にもこの描写があったから違う描写にしよう、と考えやすくなると思います。

ーー書いている本数が多いと同じパターンにはまってしまう。

zopp:多くの作家さんの場合、アーティストや自分自身を主人公にすることがほとんどですけど、僕の場合は“劇団zopp”がいて、その中からキャラクターをピックアップして僕が演出しているようなイメージです。実は作品に如実には出ていなくても、僕の作詞全体の裏テーマとして同じ人が登場するストーリー、という意味での“続編”もあります。

ーーなるほど。歌詞の主人公や舞台設定のディテールはどこまで細かく決めるものですか?

zopp:昔は結構アバウトだったんですけど『ジョジョ(の奇妙な冒険)』を描いている荒木飛呂彦先生が、一つひとつのキャラクターにちゃんと履歴書を作っていると言っていたんですね。それを聞いて、すごくいいなと思って。履歴書さえあれば感覚で被ったりしないので、肘をつく癖があるとか、舌打ちをする癖があるとかも履歴書に書いておく。そうすればある作品で舌打ちをして、全然違う作品でも舌打ちをしていて、実は一緒のキャラクターなんです、みたいなことがしやすくなる。自分の中で履歴書の項目は決まっているので、まずは全部埋めるんです。僕も物語の内容よりも、キャラクターが物語を作っていくと思っているので、キャラクターの存在は歌詞を書く上でも1番大事だと考えていますね。

ーー秋元康さんの場合、グループの人数が多い分、主人公をどのメンバーにするかで書く歌詞の内容も変わっていっているような気がします。ソロ曲はもちろんそうですし、ユニット曲はそのユニットのメンバーたちに合わせたような歌詞を書いていらっしゃるというようなイメージがあって。

zopp:あれだけ人がいたらやりやすいと思います。メンバー一人一人のキャラも立っているでしょうし。多分秋元さんも、曲ありきで作っているというよりかはセンターに立つメンバーのキャラクターありきで作っているという気がしますね。

ーーちなみに“劇団zopp”の劇団員の中に、全く自分は反映されていないんですか。

zopp:僕は全然いないです。歌詞の世界では、本当に僕じゃない人間のストーリーを作るので。でも、自分が好きな漫画のキャラクターとかドラマのキャラクターをベースにすることはありますね。もちろん少し変えたりはしますけど、人気のあるキャラクターってどこか共通点があるじゃないですか。『進撃の巨人』のリヴァイと『ドラゴンボール』のベジータみたいに(笑)。それを踏まえつつ、細かいところをきちんと設定してあげるんです。好きな食べ物を設定するとどこの場所に置いてあげるかも決まりますし、よく遊ぶエリアとか、最寄り駅も大事で。位置条件も決めやすくなるので、思い悩む事がないんですよ。自分で想像して書くというよりかは、Google Earthを見ながらここにこれがあるからこう描写しよう、というところまで考えているので、映画を作るのに似ているかもしれません。ロケハンしている感覚というか。

ーー以前から歌詞を映画的に作るというのは聞いていましたが、漫画的な表現も入っているんですね。

zopp:そうかもしれないです。シンガーソングライターの方の歌詞は私小説的ですが、僕の歌詞は文学的というよりは大衆的なんだろうな、と感じますね。漫画って4コマ漫画とかもあったりして、比較的短い。でも起承転結はちゃんとしているから、4コマ漫画で自分の作品を書け、と作詞クラブでも教えていました。漫画の良さは、大事なところはコマが大きくてわかりやすいことで。映画は同じ大きさのスクリーンでずっと見ているので、音が盛り上がってくるとここは大事なんだなとわかるんですけど、しっかり2時間見ないといけないじゃないですか。短い時間で大事なシーンが見たい時は、漫画で大きなコマだけ追いかけるのもアイデアを得るためには有効だと思います。

ーーポップスとしては4コマ漫画くらいわかりやすく、要約しないと伝わらないですよね。

zopp:1曲では書ききれないんですよね。Aメロ、Bメロ、サビ、各パート16小節ぐらいずつしかない。16小節ではそれほどたくさんのことを書けないので、起承転結ぐらいがちょうど良いと思います。

リアルサウンド編集部

最終更新:6/1(木) 15:50
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