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【コラム】先行き不安なヴェンゲル政権の継続…ファンもチームも一つになれるのか?

6/1(木) 11:30配信

SOCCER DIGEST Web

改めて心を一つにできるかと言われれば、状況は単純ではない。

 アーセン・ヴェンゲルの続投がイングランドで一斉に報じられたのは、クラブによる正式発表に先立つ5月30日にことだった。その翌日にはアーセナルが公式サイトで2年の契約延長をリリースした。
 
 就任21年目で初めてプレミアリーグでトップ4入りを逃し、19年連続で得ていたチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権を失ったアーセナルの指揮官の去就は、シーズンを通じて注目され続けてきた。
 
 退任の「潮時」という意見がクラブOBやファンの間で強まり、英国のEU脱退を意味する“Brexit(ブレグジット)”にかけて、ヴェンゲル政権の終焉を求める“Wegxit(ヴェグジット)”なる造語まで生まれ、さらに一部のファンはデモ行進もしたほどだった。
 
 だが、正直に言えば、新たな2年契約の締結にさほど驚きはなかった。
 
 契約合意の前々日に面談を持ったオーナーのスタン・クロエンケは、大のヴェンゲル支持者として知られ、新契約は昨秋から用意されていたとさえ言われている人物だ。

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 契約更新の際に「我々は支援する」と語った投資感覚の米国人実業家にすれば、CL出場権を逃したクラブの価値は、国内最多となる13度目のFAカップ優勝(5月27日)の実現で、そのダメージが補われたとの認識もあったに違いない。
 
 さらにヴェンゲル自身も、明言こそ避けてきたが続投の意志を仄めかし続けてきた。
 
 自身への礼節を欠く批判には「受け入れもしなければ、忘れもしない」とし、「(フロントに対する)最高のプレゼンは試合内容」としたFAカップ決勝前後の発言にしても、アーセナル勇退を考えている人物の言葉には聞こえなかった。
 
 では、反対派も覚悟はしていたはずの続投決定を受けてファンが、改めて心を一つにしているかというと、状況はそれほど単純ではない。
 
 ソーシャルメディア上での反応を見ても、期待を寄せる者もいれば、ため息を漏らす者もおり、ヴェンゲルに続投の資格があるとする声に対しては、何より結果が求められる1年契約ではない事実に疑問の声が上がっている。
 
 ヴェンゲルには、今シーズンの年間最優秀監督アントニオ・コンテが率いるプレミアリーグ王者(チェルシー)に勝つべくして勝ったFAカップ決勝で、批判者を見返したという気持ちがあったかもしれない。
 
 しかし、実際には、一発勝負のカップ戦と長丁場の国内リーグ戦は別物と見られており、メディアの反応も大方が悲観的だ。
 
 首位チェルシーとの間に「18ポイント差ほどの戦力差はない」と5位の自軍を評し、「既存戦力の9割を維持して1、2名を補強できれば(優勝を)争える」と語るフランス人指揮官に対し、BBCの解説者で、元イングランド代表FWのアラン・シアラーは「そんなことはない」と断言する。
 
 さらに同じく元イングランド代表FWのガリー・リネカーは、同局のラジオ番組で、「今後2年でトップ4に返り咲けるとは思えない」と嘆いている。

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最終更新:6/1(木) 11:30
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