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「好き」「できる」を伸ばす、“魔法の介護”って?「ヒヤリハット」が「にやりほっと」に変わる新しい認知症ケア

6/1(木) 11:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 介護の現場はタイヘンだ。効率優先でよいのか、でも実際には時間が足りなすぎる。介護する側の葛藤を、自分たちで改善できないか、それをモチベーションアップにつなげられないか、と20代のメンバーが中心に始まったプロジェクトがある。

 それは、2013年8月、とある老人ホームに勤務するひとりのスタッフの申し送りから始まった。「普段は車イスで生活しているAさんがトイレに行った際、手すりを持って自分ひとりで立ち上がることができた。そのとき、『私はまだ立てるのよ』と誇らしい表情をしていた」「Bさんはスタッフのエプロンのほつれに気がついて、すぐさま針と糸で繕ってくれました」。入居者の「できること」に注目した記録である。スタッフの記録は続く。「童謡を楽しそうに歌っていた」「楽譜を見ないでピアノを演奏していた」「庭に出たときに、咲いていた花に顔を寄せていた」。すべて、入居者の「笑顔」の記録だった。

 高齢者、身体あるいは知的障害がある人、認知症の人をケアする場合、身の回りの世話や事故がないケアを心がけるため、不安や気がかりなことに注目して、現場はその対応をすることが中心になりがちである。しかし、それだけでいいのだろうか? ひとりのスタッフの申し送りをきっかけに、「できること」「好きなこと」というプラス面の情報を共有することで新しい発見があることが見えてくる。そこで、介護士を中心に、全国に約100の老人ホーム、高齢者住宅、グループホーム、在宅介護事業所などをグループで運営する長谷工シニアホールディングス内で、「にやりほっと探検隊」が結成された。

「車イス生活のAさんがひとりで立ち上がろうとした」というのは、通常だと「自分ひとりで立ち上がることがあるので、転倒する危険がある。Aさんが立ち上がらないよう見守りましょう」という「ヒヤリハット」の報告になる。だが、Aさんが立った際に「私はまだ立てるのよ」と誇らしい表情で笑った、とプラスの報告があれば、ほかのスタッフの見方も変わってくる。「Aさんはまだ立ち上がることができるんだ」「機会があれば、積極的に立つ練習をしてもいい」とケアプランも変更されるかもしれない。介護される側の生活満足度が上がれば「笑顔」が増え、それは介護する側のやる気やモチベーションにもつながる。

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