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邦銀のITコスト8割がメンテナンス:金融庁参与 田中正明氏

6/2(金) 8:10配信

DIGIDAY[日本版]

PwC(プライスウォーターハウスクーパース)インターナショナル シニア・アドバイザーの田中 正明氏は25日に都内のホテルで開かれた「PwC Japan メディアセミナー」で、日本の金融機関におけるテクノロジーの活用動向に関して講演した。

田中氏は元三菱UFJフィナンシャル・グループ元副社長、現金融庁参与で「金融モニタリング有識者会議」「フィンテック・ベンチャー有識者会議」の一員のほか、お金のデザイン、マネーフォワードの顧問でもある。

「数年前に米国のベンチャーキャピタリストの方と朝食をともにすることがあり、その時はじめてフィンテックという言葉を聞いた。『フィンテックは津波のようなもので、気づいたときには飲み込まれている』とその人は語っていた」。

田中氏はPwCによるサーベイ(調査)を参照し、「日本とグローバルを比較すると日本のフィンテック投資は低調だ。フィンテックの目的は日本は『人件費の削減』だが、グローバルは『新しいサービス』をつくること。求めるものが違うことが大きくあらわれている。イノベーションへの認識が大きく異なっている」と語った。

「日本の金融機関はブロックチェーンの実証実験が行っているが、いつ実験段階を抜け出せばいいのか確信が持てない段階だ。ただ、日本にもブロックチューン関連企業が存在し、彼らは自分らの事業に適用を進めている」。

サーベイによるとグローバルでは2014年頃からフィンテックへの投資額が急速に伸びており、投資家は主にベンチャーキャピタルだ。「以前はそうではなかったが、近年は金融機関では顧客視点による商品開発が進んでいない。日本の金融機関にとってフィンテックはとてもチャレンジングだ」。

IT投資の大半がメンテナンス

「邦銀のIT費用の8割程度がメンテナンスに使われている。(三菱UFJフィナンシャル・グループ元副社長の)私の体感にも合っている。(邦銀は)新しいことができない。日本の金融機関のシステムは巨大だ。1カ所いじると7カ所直さないといけない状況だ。制度、レギュレーションが変わる度にシステムを一部修正しないといけない。フィンテックをやろうとなると大変なシステム上の課題が生じる」と田中氏は指摘した。

フィンテック領域にはeコマース企業、テクノロジー企業などのさまざまなプレーヤーが参入している。

田中氏はキャピタルワンやアリババ、テンセントを例に挙げた。アリババグループの金融部門アント・フィナンシャルが提供するモバイル決済「アリペイ」や7、8億人ユーザーのデータから生み出したクレジットスコア「芝麻信用」に触れた。「金融のイノーベションはアジアの方が進んでいる。日本より銀行サービスが発達していないので、モバイルを活用した金融が発達する」。

※アジアの金融イノベーションに関してはこの記事(「デジタル決済革命はアジアで起きている」)を参照してほしい。

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