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長田、加藤康、カラバイヨ…。独立リーグ「選手兼コーチ」たちの想い

6/2(金) 8:03配信

webスポルティーバ

「いや、もうないですけどね」

 長田秀一郎は、自身のプロ野球(NPB)復帰についてあっさりとこう答えた。彼は大学野球の名門・慶応大から2002年秋、ドラフト自由枠で西武に入団した、いわばエリートだった。そんな彼が今、田舎の球場のブルペンとも言えないような場所で、若い選手相手にキャッチボールをしている。

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 昨シーズン限りで横浜DeNAを戦力外となった長田は、今、ルートインBCリーグ(独立リーグ)の新潟アルビレックスBCで現役を続けている。現役とは言っても、ここまで(5月30日現在、以下同)登板したのはわずか5回1/3しかない。

 現在、長田のメインの仕事はコーチ業である。37歳という年齢を考えると、もう指導者一本でもよさそうなものだが、長田は独立リーグで現役続行の道を選んだ。その理由について尋ねると、シンプルにこう答えた。

「まだ、体が動きますから」

 今シーズン、BCリーグに在籍する選手兼任の指導者は10人。そのうち6人がNPBでのプレー経験がある。

 その代表格は、元メジャーリーガーの岩村明憲だろう。岩村は、福島ホープスの創設とともに選手兼任監督として入団し、過去2シーズンで出場はわずか13試合と少ないが、それでも打率.455と格の違いを見せつけている。しかし岩村は、監督業と選手の兼業に限界を感じ、今シーズン限りで選手としてはユニフォームを脱ぐ決意を表明した。

 選手育成に主眼を置いた独立リーグだからこそ、自身が現役を続けることにジレンマを感じていたのだろう。メジャーリーグという頂点にまで上り詰めた男として、若い選手の機会を摘んでまで、自分が試合に出場する意義を、もはや見出せなかったのかもしれない。

 冒頭の長田の言葉も、NPBというある種の“頂点”を知っているからこその言葉だろう。独立リーグは、あくまで上のリーグを目指す場所である。だから、そこでプレーしている限りはNPBを目指すべきなのだが、自分の置かれた現状を考えると、簡単に「NPBに復帰したい」と口に出せないこともわかっている。長田にとっては、自分自身を納得させるための独立リーグ入りだったのかもしれない。

 ただ、NPBで不完全燃焼を感じ、BCリーグで新たな野球人生をスタートさせる者は少なくない。岩村が指揮を執る福島ホープスの加藤康介もそのひとりだ。

 2002年のドラフトでロッテを逆指名(ドラフト2位)してNPB入りを果たし、14年間の現役生活で計4球団を渡り歩いた。2015年シーズン限りで阪神を戦力外となったが、昨年からBCリーグで兼任コーチとして現役を続けている。

 昨シーズンは、リリーフとして33試合に登板し、防御率1.91という好成績を残し、今シーズンもここまで7試合に登板し、防御率0.00とその実力を見せつけている。

 しかし、その加藤も今年で39歳。もはやNPBへの復帰は考えていないだろう。それでも、パフォーマンスは独立リーグという場では十分に通用する。さらなる高みを目指すことはないだろうが、プレーする場所がある限り、現役を続けようとするのも、アスリートとしての本能なのかもしれない。

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