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「伝説のデザインマニュアル」が40年ぶりに復刊

6/2(金) 12:30配信

WIRED.jp

1977年につくられた米国環境保護庁(EPA)の伝説のデザインマニュアル「EPA Standards Manual」が、クラウドファンドプロジェクトとして復刻される。その歴史と逸話を、当事者たちが振り返る。

「伝説のデザインマニュアル」が40年ぶりに復刊

1975年、米国環境保護庁(EPA)はある問題を抱えていた。大幅な予算と人員の削減といった同庁が現在のトランプ政権下で直面しているような危機ではなかったが、それは紛れもない問題だった。1970年に発足したばかりだった当時のEPAは、とにかくグラフィックに関してめちゃくちゃだった。

「規格化がまったく行われていませんでした」と語るのは、グラフィックデザイナーのトム・ジェイズマー。NBCやモービル、チェース銀行、そしてEPAのロゴをつくったことで知られる人物である。

1975年当時、EPA内の9つの部門はそれぞれ独立して活動を行っており、パンフレットやレターヘッド、報告書などの印刷物も統一感を欠いていた。同庁の文書を統一するものは、3色のデイジーをモチーフとするロゴだけだった。だが、そのシンボルにも問題があった。配色のせいで印刷代が高くついたのだ。

ささいなことに聞こえるかもしれないが、こうしたグラフィックの問題によって毎年、何百万ドルという政府の歳入が浪費されていた。EPAは紙を大量に購入できず、おまけにほぼすべての印刷物が、デザイナーを雇って一から作成されていた。「莫大なお金が使われていました」とジェイズマーは言う。

この問題を解決しようとした政府は1975年、ジェイズマーのデザインスタジオ「シャーメイエフ&ジェイズマー」(現シャーメイエフ&ジェイズマー&ハヴィヴ)にデザインの見直しを依頼した。その結果が、1977年にリリースされた『EPA Standards Manual』だった。

40年後のリブート

この84ページのブックレットは、EPAがどのようにグラフィックデザインを整理し、コストを削減しつつ、より統一感のあるアイデンティティを国民に提供できるかを詳しく説明していた。実用性と魅力に富んだソリューションを提供したのだ。

40年後の現在、デザインマニュアルはもっと野心的なことを象徴している。

「この本はまた、いまではめったに目にすることのなくなった、政府がかつてもっていた配慮とクオリティを示してくれる一例です」。米国政府機関のデザインマニュアルをいくつか復活させてきたスタンダーズマニュアルの共同設立者でグラフィックデザイナーのジェシー・リードはそう語る。

スタンダーズマニュアルはこれまでに、米航空宇宙局(NASA)[関連記事]、ニューヨーク市交通局(NYCTA)、そして米国建国200年祭[関連記事]のためにつくられたヴィジュアルガイドラインを復活させている。優れたデザインには、現実の問題を解決できる力が秘められていることを示すのが目的だ。

そしてスタンダーズマニュアルは、Kickstarterで『EPA Standards Manual』をリブートさせるための支援を募った[編註:最終的に2,000人から169,424ドル(約1,900万円)を集めた]。

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最終更新:6/2(金) 12:30
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