ここから本文です

本田圭佑は再び輝けるか。ハリルJ生き残りのための3条件、岐路に立つ金狼が進むべき道

6/2(金) 11:10配信

フットボールチャンネル

 ミランでのシーズンを終えた本田圭佑は、1日から日本代表の欧州組合宿に合流した。ランニングメニューを精力的にこなしながらも、ポジション争いのライバルたちは気になる様子。今夏は移籍のことも考えなければならないが、まずは代表で定位置奪回が求められる。本田が日本代表で再び輝くために何が必要なのだろうか。(取材・文:元川悦子)

5位本田、4位原博実、1位は…日本代表歴代得点ランキングトップ5

●本田、新鋭3トップを注視。移籍先選びにも言及

 6月の日本代表2連戦(7日=シリア戦、13日=イラク戦)に向け、5月28日から千葉県内で行われている欧州組合宿も5日目に突入。1日昼には今季限りでのミラン退団が決まった本田圭佑が合流して午後練から参加。21分間走など複数のランニングメニューを黙々とこなした。

 午前練習のみを消化し、午後は右足首の痛みをとるための治療に専念した乾貴士(エイバル)以外の10人がスクエアパス、5対5、ゴールを使った3対3、クロス&シュートなどを精力的に消化するのを、本田は気にしながらグラウンド脇を走っていた。

 特に注意深く見ていたのが、3月のUAE戦(アルアイン)で先発した3トップ、久保裕也(ヘント)、大迫勇也(ケルン)、原口元気(ヘルタ)が3対3の攻撃に回った時。吉田麻也(サウサンプトン)と加藤恒平(ベロエ・スタラ・ザゴラ)、川島永嗣(メス)に対し、久保が鋭い飛び出しから虎視眈々と得点を狙いに行く姿を目の当たりにして、定位置奪回への新たな意欲がふつふつと湧いてきたに違いない。

 練習後のメディア対応では、ミランとの契約満了に伴う新天地探しへの質問が相次いだ。本田は「自分の移籍が決まっていない時点で自分が納得いくクラブからのオファーが来てないということ。オファーが来る可能性はあるのかなと思ってはいますけど、実際にまだ納得するクラブからオファーは来てないからどうなるか分からない。でも割とのんびり構えて、移籍先をしっかり全てテーブルに載せて選べればなと思ってます」とじっくり焦らず取り組む意向を示した。

 とはいえ、仮に次のシーズンも出場機会を満足に得られなければ、短期間で劇的な成長を遂げている久保に一段と水を空けられることになりかねない。

●日本代表での定位置奪回。本田に課された使命

 今季2度目のドイツ挑戦に踏み切り、アウクスブルクの扉を叩きながらブンデスリーガ11試合出場無得点に終わった宇佐美貴史も「別に調子は下がっていないけど、クラブで試合に出てないから、(ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も)代えづらさ、選びづらさがある状態だと思います」と苦渋の表情を浮かべていた。クラブでコンスタントに試合に出ていなければ、即座に代表での地位は低下する。それが現実なのだ。

「自分が面白くて刺激的で行きたいと思えるクラブがあるかどうかがものすごく重要」と本田はいかにも彼らしい判断基準を口にした。が、自身3度目のW杯となる2018年ロシア大会でブラジルの雪辱を果たそうと思うなら、移籍先のクラブでの出番の有無や、サッカーが自分のスタイルに合うかどうかを優先すべきだろう。

 人生を左右する重大決断を下す前に、本田は6月の2連戦で久保と右サイドのポジションを争わなければならない。今季欧州2クラブでリーグ・カップ戦含めて20得点以上を挙げた久保は矢のようにゴールに突き進む点取り屋。デュエルからのカウンターを信条とするハリルホジッチ監督にしてみれば、最も使いやすいサイドアタッカーかもしれない。本田に同じ動きはできないため、違った良さを表現して存在価値をアピールするしかない。

 そのヒントになりそうな話を、酒井宏樹(マルセイユ)が次のようにしてくれた。

「(久保)裕也はフィニッシュの精度が高いですし、右左両足(でシュートを)打てるところがストロングポイント。彼の得点能力は日本代表にとって必要なので、そこにより集中させられるように守備の負担を減らしてあげることが僕の仕事かなと思います。圭佑くんの方は絶対的存在ですし、あそこにボールが集まるし、みんなそこに信頼を寄せています。ただ、1人で突破するタイプではないので、裕也の時よりはちょっと(自分が)高めの位置をとってサポートしたりとか、(圭佑くんが)中に行きやすいポジショニングをとるようにしています」

●左サイド起用も? フリーキックの鋭さ戻るか

 後ろに陣取る右サイドバックがこう説明するように、本田はボールを収めながらゲームを作り、味方と連携しながらゴール前に侵入していくタイプ。そういったプレーをもっと多く出せるように練習から強く意識していくべきだ。

 昨年9月1日のアジア最終予選・UAE戦(埼玉)から9ヶ月間も得点から遠ざかっている現状を踏まえると、ピッチに立ったら一目散にゴールに向かってしまいがちだが、彼はまもなく31歳になる大人のフッとボーラー。冷静に状況を見極めながらプレーすることを心がけなければならない。

 5月21日のボローニャ戦で直接フリーキックを決めたように、ワンチャンスを確実にモノにする鋭さと勝負強さも求められるところ。日本代表の本田は2013年8月のウルグアイ戦(仙台)以来、4年もフリーキックを決められていない。その武器を再び自分のものにできれば、久保との差別化が可能になるかもしれない。そうやって若武者と異なるストロングポイントを研ぎ澄まして、チームに還元していくことを考えた方が得策だ。

 昨年10月のW杯最終予選・オーストラリア戦(メルボルン)に1トップで先発出場し、原口の先制ゴールをアシストしたように、右サイドではない別のポジションで活躍する道を模索することも、レギュラー奪回への一歩になりそうだ。

 ミランでは先月21日のボローニャ戦と同28日の今季最終戦・カリアリ戦で左サイドを担っていて、プレー自体は決して悪くなかった。左利きの選手が左サイドでプレーすると、中にカットインしてフィニッシュに持ち込む仕事はやりづらくなるが、右足のコントロール力も低くない本田の能力を考えれば問題ないだろう。

●本田が日本代表で再び輝くために。クリアすべき3条件

 久保と原口という生粋のアタッカーを両サイドに2枚配置するより、1枚は組み立てもできるタイプを起用した方が全体のバランスがよくなるという考え方もできる。ハリルホジッチ監督がその選択をするかどうかは未知数な部分もあるが、本田は非常に多彩な能力を持った選手。かつて彼にエースの座を明け渡した先輩・中村俊輔(磐田)も「本田みたいにいろんなポジションを柔軟にこなせて結果を出せるのが本当にいい選手」とコメントしたことがあった。それを指揮官に再認識させることも肝要と言える。

 同じ位置を争うライバル・久保との差別化をまず第一に図り、違ったポジションでも代表に貢献できることも実証して、出場機会を確実に得られる新天地に赴く…。その3条件をクリアできれば、本田はロシアの舞台で輝きを取り戻せるに違いない。

「フィジカル的には問題ない。ただ、感覚的にはやってみなければ分からないところもあります。そこは(3月と)変わらないですね」と本田は現時点の自身の状態について慎重な物言いをしていた。が、そんな発言はビッグマウスと言われた男には決して相応しくない。

 2008年北京五輪で惨敗し「俺はこのままでは終わりませんよ。見ててください」とズバリ言い切った、あの頃の飽くなき野心と向上心をもう一度、ピッチ上で示すこと。それがリベンジへの大きな第一歩になるはずだ。

(取材・文:元川悦子)

フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)