ここから本文です

死刑の致死薬注射が作用するしくみ

6/2(金) 17:10配信

ライフハッカー[日本版]

薬殺刑の注射に使われる薬物は、本来、人を殺すために開発されたわけではなく、医薬品として市場に出ているものです。多くの製薬会社が、自社製品を死刑に使わせないよう、流通を規制するようになったのですが、アーカンソー州はそれをかいくぐって入手した模様です。以下、アメリカで致死薬注射に使用されている3種類の薬物がどのように作用するかを説明します。

ミダゾラムは鎮静剤

この薬は一般的に、腸の内視鏡検査の際や、手術前の不安や精神的苦痛を取り除くために、麻酔医によって投与されています。患者はこれによって意識を失うことはありませんが、眠気を感じ、薬が作用している間のことは何も覚えていません。手術の際は、麻酔の前にミダゾラムが投与されます。

アーカンソー州の薬殺刑でも、3種類の注射薬のうち、ミダゾラムが最初に注射されます。しかし投与量は、手術患者が4mgなのに比べ、はるかに多い500mgです。これで囚人をリラックスさせ、意識を低下させる狙いでしょう。しかし、この薬には、囚人の意識を失わせたり、痛みを緩和したりする作用はないのです。以前はそうした作用をもつ、チオペンタールやペントバルビタールが用いられていましたが、矯正当局がそれらを入手するのが困難になったため、それに代わるものとしてミダゾラムが使われているのです。

このミダゾラムが原因で、刑に処された人に麻酔が完全に効かないという死刑の失敗事例が何度か起きています。アリゾナ州は、2014年に執行されたある死刑が2時間近くかかってしまったという事例を受け、二度と注射にミダゾラムを使わないことを決定しました。しかし他州は使用を続行する意向で、オクラホマ州で起きたミダゾラムによる失敗事例が議論を呼んだ後も、連邦最高裁判所が薬物注射による死刑執行を合憲と判断しています。

臭化ベクロニウムが筋肉を麻痺させる

ミダゾラム同様、臭化ベクロニウムも手術で広く使用されている薬物です。患者が動かないよう、筋肉を弛緩させ、働きを弱める作用があります。これを大量に投与すると、横隔膜の動きが止まり、呼吸ができなくなります。

手術での投与は8mg程度であるのに対し、薬殺刑では、それをはるかに上回る100mgが投与されます。臭化ベクロニウムが投与される目的は死刑囚の呼吸を止めるためですが、筋弛緩作用があるため、投与された囚人は、動くことも、痛みや苦しみを口に出すこともできません。つまりこの薬物が効けば、死刑囚が苦しんでいるかどうかがわからないのです。

1/2ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフハッカー[日本版]

株式会社メディアジーン

毎日更新中

ガジェットなどを駆使し、スマートに楽しむ仕事術「Lifehack」。「ライフハッカー[日本版]」では、その言葉を広義に捉え、生活全般に役立つライフハック情報を日々お届けします。

ライフハッカー[日本版]の前後の記事