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苦戦する米国百貨店。Amazonは逆にリアル店舗戦略を拡大

6/2(金) 9:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 アメリカの百貨店大手であるMacy’s,Inc.(メイシーズ)の業績及び株価が冴えない。

 5月11日にMacy’s,Inc.が発表した2-4月期(第1四半期)決算は、第1四半期の売上高が前年同期の57億1000万ドルの売上と比較して、7.5%減少して53億3,800万ドルであった。前年同期の総売上高の減少は、2016年に発表された店舗閉鎖を部分的に反映している。既存店売上高は、5.2%減であり、既存店売上高にライセンス売上高を加えた総売上高は4.6%減であった。EPS(一株利益)は、予想37セントに対し、23セントであった。(参照:「Macy’s.Inc」

 決算発表後、同社のの株価は、29ドル台から24ドル台へ急落し、5月26日時点、23ドル台となっている。

 さらに、Macy’s、Inc.の株価を長期的に見てみると、2008年のリーマンショックの頃に7ドル台まで株価は急落し、その後は、2015年7月の69ドルまで上げトレンドであった。2015年7月をピークに、現在まで、下げトレンドが続いている。Macy’sは2016年、35~40の不採算店舗を大量閉鎖した。2017年の終わりまでに、店舗数は約600店に減少する見込みである。

 2016年会計年度の売上高は257億7,800万ドル、従業員数は約14万人、Macy’sおよびBloomingdale’s(ブルーミングデールス)のブランドの下に700以上の百貨店を持ち、Bloomingdale’sのOutlet(アウトレット)、Bluemercury(ブルーマーキュリー)、Macy’sBackstage(バックステージ)を含む約125の専門店を展開している米国有数の小売業者に何が起きたのだろうか?

◆衰退するリアル店舗主体の小売業者

 実は、苦戦しているのはMacy’s、Incだけではない。

 Nordstrom,Inc.(ノードストローム)、Kohl’sCorporation(コールズ)、Target Corporation(ターゲット)などの米国百貨店も同様に、2008年のリーマンショックの頃に株価の安値を付けた後、2015年にピークを迎えて、その後、下落傾向にある。J.C.Penney Company,Inc.(JCペニー)に至っては、2012年と、他社に比較して3年も早く株価のピークを迎えた後、下落が続いている。

 直近の四半期決算発表でも、ノードストロームは、第1・四半期の既存店売上高が0.8%減少したこと、コールズは、2月~4月期の四半期決算で、売上高が5四半期連続で減少したこと、ターゲットは、2-4月期(第1四半期、4月29日まで)決算で、既存店売上高は1.3%、総売上高は1.1%減したこと、JCペニーの2月~4月の四半期売上高は、既存店売上高が前年同期比3.5%減したことを発表している。

 この苦戦の背景には、当然のようにあの「オンラインショッピング」の巨人の存在がある。

◆アマゾン(Amazon)vs米国百貨店

 米国の百貨店は店舗が閉鎖され、売上高が減少し、株価が下落しているが、これらは、アマゾン(Amazon)を始めとするオンラインショップとの競争に敗れた要因が一番大きい。実際に、凋落をする百貨店チェーンに反して、米アマゾン・ドット・コムの業績は拡大する一方だ。

 4月27日、アマゾンが発表した第1四半期の決算によれば、売上高は357.1億ドルでアナリストの予想353.0億ドルを上回っている。前年同期比で23%増加。1株利益は予想1.12ドルをはるかに上回る1.48ドルとなっている。(参照:「Q1 2017 Financial Results」)

 5月30日の米株式市場でも、アマゾンの株価は一時1001.20ドルに上昇し、1000ドルの大台を突破した。終値996.70ドル。ヤフーファイナンスの1年後の目標株価は、1,095.97ドルとなっており、株価上昇が予想されているのだ。

 この拡大は雇用も大量に生み出している。過去5年間、アマゾンは米国で15万人以上の雇用を創出し、2011年には3万人の従業員を雇用し、2016年末には180,000人に増員している。さらに、今年の1月12日には、アマゾンの創業者兼CEOであるJeff Bezosが「新しいフルフィルメントセンターを開設し、クラウド技術、機械学習、高度な物流などの領域で革新を続けていくことで、今後18ヶ月で10万人の新しいアマゾン人を社内に追加する予定である」としている。

◆既存百貨店のオンライン戦略

 もちろん、既存の百貨店も、手をこまねいて見ているわけではない。オンラインショップなどのデジタル戦略の立案・実行に力を入れ始めている。

 例えば、Macy’sは、婦人靴、ジュエリー、家具、マットレスなどでのパイロット・プログラムを引き続き拡充するとともに、デジタル戦略に引き続き力を入れるとしている。「私たちはデジタルとモバイルのビジネスを積極的に成長させるために投資し、オンラインとオフラインのエクスペリエンスを継続して統合し、お客様がショッピングする方法を模索しています。」と最新の四半期決算報告に記している。

 また、海外への配送も積極的にアプローチしており、Macy’sのショッピングサイトでは、すべての価格が日本円で表示され、精算時に関税や消費税を計算し、お得な国際配送料で、配送時の追加費用が一切無いという簡便さを実現している。

 しかし、依然として知名度の点で大きく劣っているのが現状だ。

 逆に、Amazonのほうは「Amazon Go」のように実店舗戦略を加速させている。オンラインショッピングを支配し、リアル店舗へも進出し始めたAmazon。日本でも米国と同様な動きが今後見られるのであろうか?

<文/丹羽唯一朗 photo byIngfbruno via Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)>

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