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トランプ政権、疑惑の「ロシアゲート」は弾劾の門

6/2(金) 5:59配信

デイリー新潮

 夏目漱石の小説『門』は、過去の罪を抱えた男が救いを求めて門をくぐる――。翻って、「ロシアゲート」という“過去”を持つ米・トランプ大統領の前に現れたのは、くぐれば命取りという「弾劾の門」。司法の門番たる特別検察官の登場で、罷免の可能性も俄かに現実味を帯びてきたのである。

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 かつて出演したテレビ番組で、“お前はクビだ!”の決め台詞で一世を風靡したトランプ大統領。だが、今度ばかりは相手が悪かったという他ない。米・連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官の更迭から8日後の5月17日、司法省は、特別検察官にロバート・モラー氏を起用すると発表したのだ。

「特別検察官は、大統領選でトランプ陣営がロシア政府と組んでサイバー攻撃などを仕掛けていたとされる『ロシアゲート』疑惑の捜査を指揮します。彼はブッシュ、オバマと2つの政権でFBI長官を長らく務め、共和、民主両党からの信頼も厚い男です」(外報部記者)

 日本では今ひとつ分かり難い「ロシアゲート」の実際を、現代アメリカ政治が専門の上智大学・前嶋和弘教授に解説いただこう。

「FBIはかなりクロだと踏んで捜査しています。トランプはビジネスマンなので、ロシアとの間で収賄罪、国家反逆罪などに絡む物証が出るかもしれない。捜査対象となるのはトランプの選挙陣営にいた3人です」

 その筆頭が、マイケル・フリン前大統領補佐官であると前嶋教授が続ける。

「彼は、モスクワに拠点を置き、ワシントンDCやロスにも支局のあるロシア政府のプロパガンダ放送局『RT』のコメンテーターを務めていました。開局10周年記念行事の際はプーチンの横に座っていたほど。もはやズブズブの関係と見られています」

■1年半で決着

 2人目は選挙陣営の総責任者、ポール・マナフォート氏、3人目は選挙で外交政策アドバイザーを務めたカーター・ペイジ氏だという。

「この3人と大統領がどう繋がっていたかも焦点となりますが、捜査の可能性があるのはトランプ陣営がRTに依頼し、選挙期間中にヒラリーの評判を落とす要因となったフェイクニュースを流した疑惑です」(同)

 有名なのは「ピザゲート」事件である。ワシントン郊外のピザ店で、ヒラリー候補が児童買春に手を貸していたとの捏造報道だった。

 共同通信元ワシントン支局長で国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。

「ウォーターゲート事件で弾劾寸前まで追い込まれたニクソンは大統領辞任まで2年かかりましたが、今回は疑惑発覚から特別検察官任命に至るテンポが速い印象です。順調に証拠も固まり捜査が進めば、大統領を罷免する弾劾裁判も容易になる。捜査次第では弾劾発議から1年半程で決着がついてしまうかもしれません」

 一方で弾劾裁判を始めるには、まず議会下院で過半数の賛成が必要となる。

 前嶋教授によれば、

「トランプの支持率は下がっていますが、共和党は来年の中間選挙までは世論の動向を見守る方針。風向き次第で弾劾のプロセスも遅くなるでしょう」

 果たしてトランプ大統領に微笑むのは、天国の門番か、それとも地獄の門番か。

ワイド特集「石が流れて木の葉が沈む」より

「週刊新潮」2017年6月1日号 掲載

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最終更新:6/2(金) 5:59
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