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「見ざる聞かざる言わざる」以外にもいた! 日光東照宮の“猿の彫刻”は何を表しているのか?

6/3(土) 12:00配信

BEST TIMES

  3月10日、日光東照宮の国宝「陽明門」が、平成の大修理を経て4年ぶりに公開された。この修理中に西側の羽目板を外したところ、松と鶴を描いた宝暦の絵画が出現するなど、話題になっている。

 この陽明門は、災いを避けるという「逆さ柱」で有名だが、数多くの霊獣たちの彫刻も見逃せない。一体ずつ取り外して塗りなおされた龍の彫刻は約50体あり、それぞれ表情が異なる。門の中心に鎮座するのは、一木に掘られた「目貫の龍」だ。多くの龍が見られるのは、三代将軍・家光の干支(辰年)に由来するという説もある。陽明門にはさらに、伝説上の生きものである竜馬(りゅうば)、龍に似た息、麒麟、唐獅子などが置かれている。

 表門をくぐり左手にある神厩舎には、有名な三猿の彫刻が施されている。じつは「見ざる聞かざる言わざる」以外にも猿の彫刻が描かれていて、合計8面に渡って人間の一生を風刺しているとされる。彫刻は赤ん坊からはじまり、幼年期を経て、独り立ちをする前の様子、青年期と進んでいく。その後は挫折を経験して仲間に慰められ、恋に悩む姿が描かれている。さらに、夫婦で人生の荒波を越えていき、妊娠した猿の像は親になる喜びや苦悩を描いているのだとか。

 なぜ猿の彫刻が厩舎に施されているのかといえば、陰陽五行説による考え方を取り入れているという説がある。陰陽五行説では馬は火、猿は水に相当し、猿は馬を守ると考えられていたという。

 日光東照宮の彫刻といえば、左甚五郎作と伝えられる国宝「眠り猫」も有名だ。この裏側には、踊り雀という、スズメが遊ぶ姿を描いた彫刻が施されている。スズメが遊んでいられるのは、天敵の猫が眠っているから。つまり、平和な世の中を表現しているといわれている。

 この眠り猫が見られるのは、徳川家康の墓所のある奥宮への入り口だ。そのため、家康の守り神とする説も。目を閉じてすやすやと眠っているように見えるが、前足はしっかり立てていることから、いざというときには立ち上がり、番犬ならぬ番猫としておかれているのでは、とも考えられている。

 ほかにも、五重塔の正面には、徳川家康・秀忠・家光の干支(寅・卯・辰)が描かれているなど、境内のあちこちに動物や霊獣たちの姿を見ることができる。日光東照宮は世界遺産でもあり、厳かなイメージがあるかもしれないが、多くの動物たちが見守るスポットと考えると、より親近感が増すのではないだろうか。

文/OFFICE-SANGA 作図/ジェオ

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