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日本ワイン誕生の地に半導体工場をリノベートして造られた『MGVsワイナリー』潜入レポ

6/3(土) 8:11配信

@DIME

 日本国産ぶどう100%で醸造する日本ワインは、世界でも高く評価されはじめ、なかでも日本ワイン誕生の地である勝沼産のワインは、世界最大級のワインコンクールで2年連続で金賞を受賞するなど注目を集めています。その背景には、その土地や気候でしかできない”テロワール”を追求し、ぶどう作りからこだわるワイナリーが増えていることがあります。

【写真】日本ワイン誕生の地に半導体工場をリノベートして造られた『MGVsワイナリー』潜入レポ

現在、甲州市には約80のワイナリーがありますが、生産技術にも日々新しいアイデアが取り入れられ、元半導体工場というユニークな環境をそのまま活かしたユニークなワイナリーが先日新しくオープンしています。

 JR中央線勝沼駅から車で10分、白川の横にあるMGVs(マグヴィス)ワイナリーは、生産者の松本浩志社長が1953年に創業した塩山製作所の半導体工場の一つをリノベーションして作られ、工場時代の設備やノウハウがそのままワイン作りにも活かされています。

 たとえば、建物の右手にある大きなタンクは、半導体の洗浄に使う窒素を貯めたもので、タンクに詰める工程などでワインが空気に触れないようにするために使われています。他にも、搾汁作業と発酵室の間をエアカーテンで仕切って小さな虫が入り込まないようにしたり、奥にあるクリーンルームで樽詰めをするなど、独自の生産体制を取り入れています。

 ショップからガラス越しに見えるステンレス製の発酵タンクは、テロワールと呼ばれるぶどうの産地にこだわった製法を採用するため、ぶどうの種類や生産地毎に精密に管理し、ぶどうの味を最大限に引き出ことを目指しています。

 ショップエリアは、エントランス床のグレーチングパネルや天井の配線ラック、シンクなど建物のあちこちに工場時代の名残りが見られる一方で、ガラス張りで明るい光が差し込む、あたたかな雰囲気に演出されています。ワインを試飲するサーバーも、完璧な温度管理と量を提供できるよう、社長自身が手作りしたもので、既存のワイナリーとは異なるアイデアを次々と取り入れています。

 最もユニークなのはワインの名称で、勝沼の伝統品種である甲州と日本固有品種のマスカット・ベリーAだけを使い、専属の栽培家ごとに種類を分けて体系化し、それらをアルファベットと3桁の数字で表示したものをそのままワイン名にしています。マトリクス化することでワインの味や種類をわかりやすくするためで、実際にどの味が好みか憶えやすく、注文もしやすそうです。

 ここまで新しいアイデアを取り入れられるのは、松本社長自身がぶどう農家の4代目で、半導体事業と並行して家業を手伝いを続けてきた経験が活かされています。

 また、ビジネスとして成功させるには、世界に通じるブランディングが不可欠と考え、クリエイティブワーク全体を高級コネクテッド・ウォッチのVELDTなどを手掛ける国際的クリエイターの田子學氏に依頼し、2年近い歳月をかけてじっくりと作り上げています。

「勝沼では100年以上かけてこの土地ならではのぶどう栽培技術を育ててきました。次のステップとして独自の味を育てる方法を考える必要があり、マグヴィスでは設備から作り方までさまざまなアイデアを取り入れ、世界に知られる美味しいワインづくりを目指していきたい」という松本社長ですが、半導体事業から徹底したわけではなく、今後も並行してビジネスを行っていくとのこと。異なる業界に同時に続けることが、これまでにない発想を生み出す原動力になっているのかもしれません。

 これまでにない挑戦から生まれる新しい日本ワインが、これから世界にどう評価されるのかが楽しみです。

MGVs(マグヴィス)ワイナリー
住所:山梨県甲州市勝沼町等々力 601-17
電話:05533-44-6030
営業時間:9:30~16:30(火曜日定休) ※サイトの営業カレンダーを参照

(文/野々下 裕子)

@DIME編集部

最終更新:6/3(土) 8:11
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