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『メッセージ』宇宙人の話――ではなく、これは母になる「あなたの人生の物語」 [with]

6/3(土) 11:30配信

講談社 JOSEISHI.NET

映画に登場する宇宙船の形が「“ばかうけ”からインスパイアされた」とか「いやいや“柿の種”だろ」と、なんだか妙な盛り上がりを見せている映画『メッセージ』。ありていにいえば宇宙人とのファーストコンタクト、お互いに相手の言葉を全然知らない、共通の文字もないのにどうやってコミュニケーション取るの?という過程を描いてゆくお話で、主人公はアメリカの女性言語学者です。

意外と古典的な宇宙人の形とか、天地が逆転する宇宙船の中とか、墨で書いた円みたいな斬新な文字とか、ガラスを隔ててビチャッ!と手(?)を合わせてくる場面とか、ビジュアル的にすごく面白い映画なんですが、こうした宇宙人とのやり取りの合間合間に主人公とその娘との幸せな日々が描かれる、実はこれがこの映画最大のミソ。

宇宙文字を解読する過程はちょっとややこしい話もしていますし、地球が戦争に巻き込まれちゃうのか!?みたいな大変な展開もあるのですが、これがラストにはウルトラCの展開で急にあらゆる女子の個人的な人生に問いかける作品になります。つまり「私ならどうするだろう」という。実はこれ、母親の話なんです。見ればわかる予告編の意図的なミスリードもなかなかニクイです。

さてこの作品で一番の注目は、監督のドゥニ・ヴィルヌーブ。この秋公開される伝説の作品『ブレードランナー』のリメイクを手掛ける、いまハリウッドでもっともイケイケな人です。どれもこれもすごい作品なのですが、私が打たれたのは『灼熱の魂』という作品。こちらもある母親の生きざまを衝撃とともに描いた作品です。ぜひこちらも併せて見てほしいなー。

『メッセージ』 絶賛公開中!



文/渥美志保