ここから本文です

神奈川の夏を熱くする高3右腕。強豪封じにスカウトも名将もニンマリ

6/3(土) 8:10配信

webスポルティーバ

 ある球団のスカウトに「上位ですね……」と話を向けたら、「いやぁ、12人でしょ。これだけ投げられたら……。これだけのストレートを投げられる右の高校生、ほかに誰がいます?」と、少しホッとしたような表情を浮かべた。

■春季大会にスカウトがゾロゾロ。無名の右腕が関東屈指の本格派に変身

 今年のドラフトは、清宮幸太郎(早稲田実業)という目玉はいるが、そのあとがなかなか出てこないのが実情だ。

 1位指名候補の12人がなかなか揃わない年はたまにあるが、1位候補の“ふたり目”が出てこないというのは、ある意味、非常事態である。

 もちろん、新聞や雑誌に取り上げられる候補選手は何人かいるが、確たる実績を掲げて「我こそは!」と名乗りを上げられるような選手となると、清宮以外、見当たらないのが今年のドラフトの“本当”のところなのである。

 ただ、春先から夏場にかけて急成長する選手をこれまで何人も見てきたし、実際、今年もその可能性を秘めた選手はいっぱいいる。そのなかのひとりが、冒頭でスカウトが絶賛した選手で、星槎国際湘南の本田仁海(ほんだ・ひとみ)という右腕だ。同校の練習試合を見ながら、前出のスカウトは次のように本田を評する。

「春先のこんな寒い日に140キロ台をコンスタントに投げられて、ストレートを低めに集められる。しかも両サイドのコントロールもしっかりしている。相手が東海大相模だって、まったく物怖じしない性格も素晴らしい」

 その本田が、最初に筋のいいピッチングを見せたのは昨年の秋だ。

 秋の県大会で5試合すべてに完投し、そのなかに26イニング無失点があった。3回戦の鎌倉学園戦では延長15回で21三振を奪い、引き分け再試合となった翌日は4安打、13奪三振で完封。空振りを奪えるストレートの威力と、連投にも耐えうるタフな心身を証明してみせた。

 彗星の如く現れたそんな右腕の成長を、この春、みんな期待していた。

「今年は逸材が少なそうだ……」という見込みが関係者の間に浸透していて、楽しみにしていた数少ない選手のなかのひとりが、練習試合とはいえ、全国に名の知れた強豪校を相手に7回を無失点に抑えたのだから、評価が一気に跳ね上がった。それがセンバツ前のことだった。

 その後、春の県大会でもほとんどひとりで投げ、日大藤沢、慶應義塾といった神奈川の強豪校を次々と撃破し、気がついたらベスト4にまで進出していた。

 いったい、本田のどこが素晴らしいのか?

 ひとつは、アウトコース低めが打者の目から遠くて打ちにくいことを、本人がよくわかっているような投げっぷりだ。スピードばかり欲しがる投手が多いなか、高校生でこれほど“アウトロー”を執拗に突いてくる投手を見たことがない。

「自分としても、まずコントロールなんです。狙ったところにピンポイントに投げられるコントロールがあって、そのなかでスピードも伸ばしていければいいと思っています。それが“勝てるピッチング”につながると思うんで……」

 球速帯が140キロ前後から145キロ前後に伸びた今でも、その心がけは変わらない。それこそが、本田のコンスタントなピッチングを支えている。

1/2ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
4月13日発売

定価 本体1,472円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 平昌への道』
■ヘルシンキの激闘
■宇野昌磨、本田真凜ほか