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「お守り」としてのライフル。武装するウクライナの人々の声

6/4(日) 18:30配信

WIRED.jp

写真家アンドレ・ロマキンが被写体に選んだのは、ウクライナで暮らす普通の人々。プログラマーや弁護士など職種こそ違えど、ウクライナで暮らす彼らは何の変哲もない人々に見える。ただ一点、彼らがライフルやショットガンを抱えていることを除けば。政府や警察を信用できなくなったウクライナの人々は、まるで「お守り」のように銃を持っている。

「お守り」のように銃を持つ。政府や警察を信用できなくなったウクライナの人々。

誰もが知っているように、日本で銃の所持は厳しく規制されている。それとは反対に銃規制が緩やかな国といえば、米国を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、ウクライナの人々にとっても銃は身近なものであるらしい。

ウクライナ・キエフ出身の写真家、アンドレ・ロマキンは、プロジェクト『Amulet』を通じて、ウクライナの人々と銃の関わりを描き出している。ロマキンがこのプロジェクトを開始したのは2014年のこと。「当時クリミアはすでにロシアに併合されていて、ドンバスで内戦が起きていました。人々は政府も警察も信用しておらず、自分の身は自分で守らねばならなかったのです」とロマキンは語る。

「わたしの友人も銃を購入していました。同じように銃を買う人は日に日に増えていきました。狩猟用の銃が店から姿を消してしまったんです」。このプロジェクトを開始したときのことを振り返り、ロマキンはそう語る。ウクライナでは、護身のための銃所持は規制されているものの、狩猟用のショットガンやライフルは購入できる。人々はそれらを購入し、護身用として家に置いておくのだという。

「異常な状態におかれている人々の日常生活を描きたかったんです。銃を抱えた人々の姿は非常に危険に見えますが、それは彼らが身の安全を保証されていないことの証でもあります。プログラマーやエンジニア、弁護士など、彼らは普通の人々で、普通のアパートに住んでいる。彼らはまさか自分が銃を所持することになるなんて、考えてもいなかったはずです」とロマキンは語る。ソファに座っていたり、キッチンに佇んでいたり、子どもに囲まれていたり。ロマキンが撮影する人々は、何の変哲もない普通の人々だ。ただひとつ、大きなライフルやショットガンを抱えていることを除けば。

プロジェクト名に冠された単語が意味するように、ウクライナの人々にとって銃とは武器というより、自分の身の安全を保証してくれる「お守り(Amulet)」なのだろう。大切そうに銃を抱える人々の言葉からは、銃が放つ物々しい雰囲気に反して、いつ襲われるかわからない恐怖に身を晒され続ける不安が伝わってくる。

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最終更新:6/4(日) 18:30
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