ここから本文です

久保・大迫・原口の3トップが秘める可能性と課題。日本の将来を担う最重要ユニットに

6/4(日) 12:49配信

フットボールチャンネル

 日本代表の欧州組合宿も佳境を迎え、試合の日が近づいてきている。来年のロシアW杯に向けて、日本が磨いていくべき武器とは何か。新たな組み合わせが形になりつつある前線の3トップが鍵になるかもしれない。新世代を担う久保裕也、大迫勇也、原口元気の3人が秘める可能性、そして課題とは。(取材・文:元川悦子)

上位3位が勝ち点差3の混戦に… W杯アジア最終予選【グループステージ順位表】

●抜群の破壊力を誇るハリルお気に入りの3トップ

 今月7日の親善試合・シリア戦(東京)と同13日の2018年ロシアW杯アジア最終予選・イラク戦(テヘラン)の2連戦に向け、着々と調整が進みつつある日本代表欧州組。5月28日の千葉合宿スタートから7日目に突入した3日も午前と午後の2部練習が行われ、午前は本田圭佑(ミラン)、長友佑都(インテル)、香川真司(ドルトムント)の3人が走りのメニューを消化した。

 午後は臀部の痛みを訴えた香川と、右足アキレス腱に軽い痛みを抱える浅野拓磨(シュトゥットガルト)の2人が練習を欠席。右足の内側側副じん帯負傷の酒井宏樹(ハノーファー)も別メニューとなった。

 その他12人は2対2のサッカーバレーで楽しみながら体を動かし、コンディションを整える段階に入った様子。2年前は清武弘嗣(C大阪)、昨年は本田が同じ欧州組合宿で負傷している。その苦い過去を踏まえ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も負荷をかけすぎないよう配慮している模様だ。

 さしあたって4日後のシリア戦では、本田のような所属クラブで出場機会の少ない選手、今野泰幸(G大阪)のような負傷明けの選手、加藤恒平(ベロエ・スタラ・ザゴラ)のような新戦力がテストされると見られる。

 その一方で、攻撃陣の連携強化も重要なテーマだ。昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)と3月のUAE戦(アルアイン)で先発し、今回のイラク戦でもスタメンが有力視される久保裕也(ヘント)、大迫勇也(ケルン)、原口元気(ヘルタ)の3トップのコンビネーションもどこかで必ず確認しなければならないだろう。

 ハリルホジッチ監督はゴールへの推進力の高い久保と原口を両サイドに配し、タメを作る能力の高い大迫を最前線に入れる組み合わせを最も気に入っている。今回の欧州組合宿中も3対3やビルドアップからのシュート練習などで何度か彼らを試しているが、両サイドから矢のように敵陣に突っ込んでフィニッシュに持ち込める3トップの存在は相手にとっても脅威に他ならない。

●左右のバランスの重要性。「両方が仕留める形」をいかに作るか

 その優位性を原口も実感しているようだ。

「(本田)圭佑くんが右にいる時は『右で作って左で仕留める形』が多いですけど、(久保)裕也は自分で仕留めるタイプ。ガンガン前に行くんで、チームとしてのタテへの勢いが出る。(自分を含めて)両サイドから仕留めにいく感じでもいいかなと思います。

 1トップにサコくん(大迫勇也)が入る時とオカちゃん(岡崎慎司=レスター)がいる時もまた違う。サコくんはボールが収まるし、あそこでワンクッション入ると僕らも前に走りやすい。オカちゃんはより点を取ることに力を使いますね。でもタイ戦(3月=埼玉)ではオカちゃんがゴールしてチームを楽にしてくれた。どっちにしても自分の役割はあんまり変わらないと思います」と背番号8をつける男は冷静に分析していた。

 確かに本田が右に陣取った時は原口に決定機が巡ってくることが多かった。昨年9月のタイ戦(バンコク)から11月のサウジアラビア戦までの最終予選4試合連続ゴールも、本田のお膳立てによるところが少なくなかった。その後、ベルギー1部・KAAヘントに移籍し、17試合11得点という驚異的な数字を残した24歳のゴールハンター・久保が3月の2連戦から右サイドに参戦。右のゴールチャンスが格段に増えた。

 その煽りを食った形になった左の原口は得点機会が目に見えて減り、タイ戦に至ってはシュート数ゼロに終わっている。彼のハードワークや守備への献身的姿勢は決して見劣りしなかったが、決定機が少なくなったことで、どこか「黒子に徹している」という印象が拭えなかった。

 それだけに、いかにして原口が言うような「両方が仕留める形」を作っていくのか。そこは最終予選終盤戦、そして1年後のロシアW杯本大会を戦い抜くうえで、大事なポイントになってきそうだ。

「3月の時は点を取れなかったけど、取りたい気持ちはもちろん強い。その前にまずは自分の仕事量を減らさないことが大事になってくる。そこが評価されてる部分でもあるし、アウェイで失点すると難しくなるのは分かっている。自分がハードワークしてボール奪って出ていくことを繰り返せば、日本代表なら必ずチャンスが来る。それを信じて走り続けるだけですね」と原口は自分に言い聞かせるように話していた。

●久保・大迫・原口が得点力不足解消の鍵に?

 久保の方も「代表では上下運動がすごく求められる。(ハリル)監督からもゴールに入っていく回数を増やすことをすごい言われますし、この合宿でやるようなトレーニングを含めて今後、いろいろやっていきたい。次の試合でも得点につながるプレーをするように心がけたいし、もっと積極的に仕掛けてゴールを貪欲に狙っていけたらいいと思います」とハードワークの必要性を再認識した様子だった。

 確かに、久保が国際Aマッチデビューした昨年11月のオマーン戦(カシマ)からの4試合を見ると、攻撃時の前線に出ていく迫力は凄まじいものがある反面、守備時のプレッシングや後方に下がってのカバーリングはやや物足りない部分もある。それを原口と同等にできるようになれば、左右両サイドから次々と矢のようにゴールへ向かっていく厚みのある攻撃をより見せられるはず。久保の方にも改善点をしっかり認識して、取り組んでもらう必要があるだろう。

 そのうえで大迫、あるいは岡崎ら1トップとの間合いを考えながら、できるだけ近い距離感でプレーできるようになれば、3トップはより怖さを増す。これまで本田、岡崎、香川の3本柱が担っていた攻撃パターンとは明らかに異なるスタイルが確立できるのだ。

 この3トップをベースにしながら、今回2年2ヶ月ぶりの招集となった乾貴士(エイバル)、爆発的スピードを誇る浅野といった他のアタッカー陣とも連携していければ、攻めのバリエーションは間違いなく広がる。

 日本代表が得点力不足という長年の課題から脱却できるかもしれないだけに、期待は大きい。そんな明るい未来を現実にすべく、久保・大迫・原口の3トップにはこれまで以上の成果を残してほしい。

(取材・文:元川悦子)

フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)