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「安くていい」医療はありえない!国の負担はもう限界 --- 松村 むつみ

6/4(日) 17:28配信

アゴラ

2015年には、厚生労働省の有識者会議は「健康医療2035」という政策提言書を出しています。来るべき少子高齢化の2035年に向けて、保健医療のあるべきビジョンを示した提言書で、有識者会議の真摯な危機感と前向きさが伝わって来る提言書です。

その中に、「2035年のビジョンを実現するためのアクション」という箇所があり、項目のひとつとして、「より良い医療をより安く享受できる」ために、費用対効果の測定などがアクションとしてあげられています。

膨れ上がる医療費の問題点を理解すべきだ

近年問題になっているように、医療費は増加の一途をたどっています。2016年度の医療費はまだ発表されていませんが、2015年度は41.5兆円であり、前年度に比べて3.8%増となっています。

1961年に国民皆保険が達成されて以来、わたしたちはこれまで、高水準の医療を比較的安価な料金で享受してきました。少し前までは、大学病院を紹介状なしで受診することもできましたし、今でも、基本的には受診する病院を自分で選ぶことができます。

厚生労働省が2016年に「医療費の伸びの要因分解」という資料を出していますが、それによると、医療費の伸びは主に高齢化と、治療の進歩などに起因していることが示されています。特に伸び率が大きいのは薬剤費です。

昨年、肺がん治療薬オプジーボが高額薬剤として話題になったのは記憶に新しいところです(当初の価格設定では、体重60kgの人が一ヶ月使用すると270万円かかると試算されていました。その後、緊急薬価改定が行われ、二分の一の価格に再設定されています)。

今後も、このような医療費の増大は続くでしょう。現在の国民皆保険が機能しなくなる日もあまり遠くはないかもしれません。そのために現在、先述の提言書にもあったように、さまざまなことが試みられています。

高額新薬の費用対効果の算定、病院再編や専門医制度の見直しなどです。一時期話題になった小泉進次郎議員らの提案し物議をかもした「健康ゴールド免許」も、医療費削減を目的のひとつとして生まれた提言です。

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最終更新:6/4(日) 17:28
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