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尾崎世界観が女性目線の歌詞を書く理由――阿川佐和子のこの人に会いたい 後編

6/5(月) 17:00配信

文春オンライン

(前編より続く)

会社にも親にもメンバーにも嘘をついていました。

阿川 尾崎さんってものすごく高い声を出してらっしゃるけど、元々高音だったんですか?

尾崎 路上ライブをする前から高音が出ることに気づいたんです。ギターを始める前に友達とカラオケに行ったとき、声が全然出なかったんです。「全然聴こえないよ、お前の声は」と言われるくらいでした。でも、キーの高いゆずの曲を歌ったら、急に声が出て。つまり、自分の声が高いことをずっとわかってなくて。

阿川 ええ!? だって学校の音楽の時間に合唱とかするでしょう?

尾崎 周りの低い声に合わせていたので、歌ってこういうものなんだと思ってました。

阿川 ははあ。でも尾崎さんの声ってファルセット(裏声)ではないですよね?

尾崎 ミックスボイスといって、ファルセットと地声が混ざっている独特な発声法です。普通は練習してミックスボイスが使えるようになるらしいんですが、僕の場合は最初からミックスボイスでした。

阿川 便利な声帯なんですね(笑)。デュオからバンドになったのはいつ頃なんですか?

尾崎 高校生からです。アコースティックギターを弾いていた時期から、すぐにオリジナルの曲を作っていたので、バンドではコピーは一切せず、全部自分が作った曲を演奏していました。

阿川 それはプロを目指して?

尾崎 もちろん、音楽で生活していけるようになりたいという思いはありました。でも、それまでボクシングジムに通ったりと色んなことに手を出してきて、続いたのが音楽だけなんです。音楽以外で自分が出来ることもなかったし、気づいたときには辞めるには勿体ないという状況になっていました。

阿川 ご家族は息子が音楽の道に進むことは……?

尾崎 ずっと反対されてました。だから高校卒業後は一応、製本会社に就職しまして。

阿川 え、本にかかわる仕事を?

尾崎 はい。『ハリー・ポッター』シリーズや、宮城谷昌光さんの全集の製本を担当している会社でした。『祐介』もこの会社で製本してもらいました。

阿川 そんな義理堅いことしてるの? たまたま?

尾崎 いや、お願いしてやってもらいました。実は就職したもののすぐに辞めちゃったんです。会社にはバンドをやっていることを秘密にしていて、一方メンバーには就職したのを秘密にしていて。さらに親にはバンドを辞めたと、これも嘘をついていました。

阿川 ややこしい(笑)。どうして会社を辞めることに?

尾崎 ライブのときに仕事を当日欠勤しなければいけなかったんです。それで居づらくなりまして。でも、ほんと情けない話なんですけど、父親には「会社でいじめられてる」と嘘をついていました。そうしたら「おまえ、バンドやってるの知ってるぞ」と言われてしまい……。

阿川 お父様は気づいてらしたんですね。

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最終更新:8/17(木) 19:45
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