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【CL勝負を分けたワンプレー】ユベントスを破壊したレアル・マドリーの“ディバラ封じ”

6/5(月) 12:16配信

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スカパー!× footballista ピックアップレビュー

UEFAチャンピオンズリーグ全試合を放送する『スカパー!』と『footballista』がコラボレーション。注目カードの勝敗を分けたポイントを、『footballista』執筆陣が詳細に分析する。



UEFAチャンピオンズリーグ/決勝
ユベントス 1-4 レアル・マドリー


文/神尾光臣


 大会を通じてわずか3失点だったユベントスから4ゴール。レアル・マドリーが顕示した攻撃力は確かに圧倒的なものがあった。ただ、勝利が決定的になったのは3ゴールを集めた後半だが、戦術的な優位性を相手に見せつけたのは20分の先制点だったように感じた。このゴールには、彼らが強固な組織を誇るユベントスを攻略できた理由がすべて詰まっていたからだ。


 ダニエウ・アウベスの頭でのクリアを受けたディバラをサイドへと追い込みボールを奪取すると、細かいパス交換から前を向いたクロースが力強いドリブルで速攻にスイッチを入れ前線のベンゼマへ繋ぐ。反転しながらボールを収めたベンゼマは、間髪入れず逆サイドで待つロナウドに展開。すぐさまオーバーラップして来たカルバハルにパスを出したロナウドは、一瞬対峙したキエッリーニがボールの流れを目で追っている間に彼の背後にポジションを取ってフリーになる。そしてカルバハルの折り返しを受けて右足でシュート。ブッフォンが触れないゴール左隅へと正確に流し込んだ。


 このゴールのポイントはまず、スタートがディバラのボールロストだったということだ。序盤、レアル・マドリーはユベントスに果敢に攻め込まれてはいたが、ディバラだけには仕事をさせていなかった。前後左右に流れ、個人技でマーカーの裏を取って攻撃の形を作るアルゼンチン代表FWに対し、カセミロが正面に入って前方のパスコースを切った上で、挟み込んで奪うという守備を徹底していた。ボールを奪われリトリートしながらの守備を強いられる場合は、ディバラの動きに合わせてDFとMFの2ラインで挟撃する。「ディバラはユベントスの中で最も危険な人物だ」とジダン監督は数日前の会見で語っていたが、実際に最大限の警戒を払い抑え込もうとしていた。


 このシーン、ディバラがチェックをかわして前を向くことを前提に攻撃へと意識を向けていたユベントスの選手たちは、ボールロスト後の帰陣がやや遅れてしまう。そして、そのわずかな隙が命取りになる。レアル・マドリーのMF陣による攻撃の切り替えのスピードが、ユベントスの守備に戻るスピードを上回ったからだ。


 プレスをかけて来たピャニッチをイスコ→クロース→カセミロ→モドリッチ→クロースのパス交換で外し、さらにクロースがドリブルで前方のスペースを素早く突くことでケディラも引きつけユベントスの中盤の守備を無効化。普段はバランサーに徹し、相棒のモドリッチと比較すると自ら持ち上がるイメージのないクロースだが、この日は切り替えの判断の速さと、守備と上下動を頻繁にこなすフィジカルコンディションの良さが際立っていた。また、モドリッチ、イスコの3人のうち誰かが飛び出した時に残りの選手がフォローに回る連係が非常にスムーズで、クロースが躊躇(ちゅうちょ)なく飛び出せる組織がしっかりと構築されていた。


 そして、その速攻をゴールへと昇華させる上でロナウドの存在はやはり大きかった。2トップの一角としてサイドに張り、敵のDFラインを広げて中盤の飛び出しを引き出したかと思えば、下がってボールを受けてパスを散らし、マーカーの視野を盗んでフリーになる。こうした幅の広い動きを、高いアスリート能力を駆使して連続的にこなすところがDFにとっては大きな脅威となる。実際、ここまで堅守を誇ったユベントスのDF陣をもってしても、スペースへと入り込む彼の動きを捕まえられず2点を奪われている。


 戦術上抑えるべき選手に仕事をさせない規律の高さと、スピーディーな攻撃を実行するための高い技術とアスリート能力。そういった要素を組み合わせてチームを成立させていることが、レアル・マドリーの強さだ。ジダン監督は「それでも前半は引き過ぎていた」と反省していたが、わざとユベントスに持たせてユベントスを誘ったとさえ思えるほどに狙いははっきりとしていた。レアル・マドリーは、勝つべくして勝った。そしてユベントスには、それをねじ伏せる力がなかった。

最終更新:6/23(金) 11:17
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