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加計学園問題をこじらせた政権の強引さ --- 中村 仁

6/5(月) 16:01配信

アゴラ

報道も識者も白組と黒組に分断

加計学園問題で次々と新しい情報が飛び交い、メディアも識者も、シロ組(擁護派)とクロ組(批判派)に分断され、思い思いの主張を発信するので、問題の本質がどこにあるのか見えてきません。安倍政権の政治体質が絡んでおり、両者の対立は増幅されています。国際情勢が混乱を増しているこの重要な時期に、学園問題が国の最大の争点になっているのは不幸なことです。これまで明らかにされた情報をもとに、どう考えるべきかを整理してみました。

最大の問題は「獣医が足りない。国家戦略特区を使って獣医学部を新設しよう」(政策目的)が正しいのかどうか。次に、「それが正しいとした場合、安倍首相の親友が経営する加計学園に新設を認可した」(加計学園の適格性)は正しいかったのかどうか。第三に「首相が便宜を図るため、強引に行政組織に圧力をかけた」(行政手法)のではないか。

さらに、各種の文書の存在が発覚し、政権、政府側は「該当する文書は確認できない」、あるいは「記憶にない」などと発言しているのは、「隠ぺい工作にあたり、徹底的に事実関係を洗い出す必要がある」(官邸、官僚の倫理性)という問題もあります。

獣医を増やす政策目的は正しい

第一の政策目的の適否の問題では、「感染症対策、ライフサイエンス政策などのためには、獣医は増やすべきである」が正しいと思います。学部を新設しようとすると、文科省が反対し、その文科省は「農水省がうんと言わない」、農水省は「日本獣医師会がうんと言わない」で、既得権益の擁護派が反対に回っていたのでしょう。加戸・前愛媛県知事もそう発言しています。安倍首相の「規制改革には抵抗が必ずある。特区を使って規制緩和に挑戦していく」という発言も、その通りだと考えます。

次に「では受け皿がなぜ加計学園なのか」となると、政権側の説明は曖昧です。「定員180人もの学生を対象に教育、研究ができる実力の教員が確保できていない」、「獣医学部の経営収支は赤字で、将来に不安がある」、さらに「大学設置審議会の認可が下りていない」などの情報があります。

安倍首相は「圧力は一切、かけていない」と、議会で発言しています。「獣医学部誘致で前向きになったのは民主党政権時代だ」とも指摘しました。「加計学園が適切なのか」が論点なのに、「特区設置の適否」に論点をすり替えています。政権側は重要な判断材料について、説明を省き、「厳密に判断した。友人関係があるなら、むしろきちんと手続きに沿って客観的にやってきた」と繰り返すばかりです。「厳密に」とか「客観的に」という根拠は言わず、信じろという姿勢です。

かなり無理して、加計学園に絞ったと推察されます。そのために使った手が「忖度」でしょう。首相の意向を「忖度」さすために登場したのが、前川・前文科省次官が述べている副官房長官、首相補佐官らです。明らかにされた内部文書が正しいとすれば、「忖度」というやさしいそうなものではなく、「強硬な指示、圧力」とでもいうべき次元の話です。官房長官も高飛車な発言を繰り返し、新事実が発覚して、尻尾を捕まえられるなど、不遜な態度ですね。

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最終更新:6/5(月) 16:01
アゴラ

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