ここから本文です

重力波、3度目の検出に成功、30億年前のブラックホール衝突

6/5(月) 17:30配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

3度目の快挙、重すぎるブラックホールはどうしてできたのか?

 遠い昔、はるか彼方の球状星団の中で、2つの奇妙な大質量ブラックホールどうしが衝突して融合した。このときに解放された膨大なエネルギーは時空の構造を歪め、さざ波のように宇宙を広がっていった。

ブラックホールの謎に迫るフォトギャラリー6点

 2017年初め、地球のレーザー干渉計重力波観測所(LIGO)が、このさざ波をとらえた。重力波の直接検出としては3例目だ。重力波は、宇宙を観測するための新たな方法となることが期待されている。重力波ははるか遠くにあるブラックホールの成長や位置のほか、2つのブラックホールがお互いのまわりを回転しながら死を迎える様子についても教えてくれる。

「宇宙は謎でいっぱいです。私たちはブラックホールがどのように生まれてくるのかわかっていると思っていましたが、知らないことがまだまだたくさんあるのだと思い知らされました」と、カナダ、マギル大学の天体物理学者ダリル・ハガード氏は語る。

ブラックホールが激突

 LIGOが最新の重力波をとらえたのは2017年1月4日のこと。約30億年前のブラックホールの衝突により発生した重力波が、今になって地球に届いたのだ。地球に打ち寄せた時空のさざ波は、米国ワシントン州ハンフォードとルイジアナ州リビングストンに設置されたレーザーと鏡からなる装置によってとらえられた。

 地球に届いた重力波は、空間をわずかに伸び縮みさせた。伸び縮みの大きさは陽子の直径よりもはるかに小さく、私たち人間が気づくのは不可能だ。しかし、LIGOの感度は非常に高く、この小さな歪みをしっかりとらえた。

 信号を慎重に分析した研究チームは、この重力波が、太陽の30倍と19倍の質量をもつ2つのブラックホールが激突したときに発生したものであることを突き止めた。

 2つのブラックホールは、長い間、お互いのまわりを回転していたが、徐々に死のらせんへと引き込まれていった。じわじわと接近してゆくブラックホールは、重力波の形でエネルギーを放射した。そしてついに衝突して融合し、さらに多くのエネルギーが時空のさざ波として宇宙に放出された。

 このほど科学誌『フィジカル・レビュー・レターズ』に発表された論文によると、衝突により新たに形成された底なしの曲がった時空は、実に太陽の50倍の質量をもつという。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ナショナル ジオグラフィック日本版の前後の記事