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ピンチを救ったチョン戦「恵みの雨」。錦織圭は半日で何を変えたのか

6/5(月) 13:55配信

webスポルティーバ

「昨日、あのまま雨が降らなかったら……たぶん100%負けていた」

 素直すぎるとも思える錦織圭のこの言葉は、前日の彼が置かれた窮地をあまりに明瞭に浮かび上がらせ、聞く者をドキリとさせる。

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「第4セットも先にリードされ、精神的に戦う準備ができていなかった」

 降雨直前の心境を、彼はそう振り返った。

 錦織が「アジアから若い選手が出てきたのはすごく嬉しい」と歓迎し、チョン・ヒョン(韓国)が「尊敬している選手と対戦できるのは光栄」と心待ちにした一戦は、錦織が才能豊かな若者に経験と実力差を見せつけるように始まった。

 やや硬さの見える21歳の心中を見透かしたかのように、最初のゲームからリターンで圧力をかけていく。高いポジションを保ち、緩急自在の”柔”のテニスで”豪”の相手を揺さぶり崩した錦織が、ブレークでの快調なスタートを切った。

 その後も展開力で勝る錦織の優勢は続いたが、後に振り返ってみたとき、苦闘への些細な予兆は第5ゲームの最初のポイントで、顕在化し始めていたかもしれない。

 相手の甘いセカンドサーブを打ち返しそこねたとき、錦織は顔をしかめて、自身を責めるようにラケット面で頭を叩く。その後は打ち合いでも徐々にストロークが短くなりだし、3ゲーム後に許したブレーク……。最終的に第1セットは土壇場の勝負強さを発揮して取るものの、25を数えたエラーの数はその後の展開に不安を残した。

 第2セットをも奪い、すべての面において優位に立つはずの錦織だが、第3セットに入っても彼の苛立ちや集中力の断線は要所要所で顔を出す。第3ゲームでもリターンを大きくふかした場面で、「あー、もう!」と叫び声を上げた。

 対するチョン・ヒョンは、「楽しみにしていた一戦で、このまま終わりたくない」という無垢な想いがボールを追う活力となる。その相手のひたむきさの前に、ミスが増えていく錦織。第3セットはタイブレークの末に、チョン・ヒョンが奪い返した。

「イージーミスがなければ、6-3くらいで取れていたセット」

 後に錦織は、第3セットをそう省みる。己に募らせた鬱憤(うっぷん)の最大の原因は「リターンミス」。

「リターンがもう少し入っていれば、もう少しスムーズに進んだと思う」

 自信を持つリターンから思うように試合を作れなくなっていたことが、他のプレーにも影響を及ぼしただろうか。灰色の空から落ち出した雨が赤土に黒いシミを作るなか、第4セットでの錦織はミスが止まらず、3ゲームを連続で落とす。ラケットを叩きつけ、メディカルタイムアウトを要求したまさにそのとき、雨脚は試合継続不可能なまでに威力を増した。中断の約2時間後には、全試合の翌日への延期が発表される。冒頭でも触れたとおり、錦織も認める、これ以上ないタイミングでの恵みの雨であった。

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