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【CL】C・ロナウドをもローテーションの対象に。“特権”を撤廃したジダン監督の巧みな用兵術が戴冠をもたらす

6/5(月) 7:00配信

SOCCER DIGEST Web

バカンスを与えるなど精神面でのケアも。

[CL決勝]ユベントス 1-4 レアル・マドリー/6月3日/ナショナル・スタジアム(カーディフ)
 
 1-1のまま前半終了のホイッスルが鳴り、両軍がベンチへと引き上げていく。その姿はいささか対照的だった。手応えを感じている様子のユベントスに対し、レアル・マドリーの選手たちの中には不満げな表情を浮かべている者が少なくなかった。

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 それはそうだろう。スコアこそ同点だったとはいえ、前半は明らかにユベントスのペースだったのだから。ハーフタイムでいかに修正するか。それはR・マドリーからすれば、試合の行方を左右する重要なテーマだった。
 
 そして15分程度の休憩を終え、白い巨人は見事に立て直してきた。受けに回っていた前半とは打って変わって攻勢に転じ、一気に3ゴールを奪ってユベントスをねじ伏せたのだ。
 
 ハーフタイムに一体何があったのか。クリスチアーノ・ロナウドによれば、ジネディーヌ・ジダン監督の「ポジティブなチームトークがあった」という。それも一因には違いないとはいえ、後半に猛攻を仕掛けられるだけの余力を残していたことも、劣勢を覆す要因になったと考えられる。換言すれば、コンディションが良かったのだ。
 
 奏功したのは、ジダン監督が導入したローテーション制だ。おそらくシーズンの早い段階から準備を進めていたのだろう。タイトル争いがクライマックスに突入するシーズン終盤の4~6月を万全のコンディションで迎えるべく、レギュラー組の出場試合数を調整する一方で、控え組には積極的に出番を与えてチーム力の底上げを図った。
 
 特に3月に入ってからは一部の主力をアウェー戦に帯同すらさせない徹底ぶり。C・ロナウド、トニ・クロース、ルカ・モドリッチ、マルセロらが最後まで高いクオリティーを維持できたのは、そうした温存策の賜物と言える。
 
 ジダン監督の何よりの功績は、C・ロナウドすらもローテーションの対象に組み込んだことだろう。休養を優先させるためとはいえ、プライドの塊で、全試合出場に拘るこのエースを説き伏せるのは簡単な作業ではない。圧倒的なカリスマ性を持つジダンだからこそ、C・ロナウドも従ったのだろう。
 
 C・ロナウドの負担が減ったのは、数字を見れば明らか。昨シーズンはリーガで38試合中36試合に出場(2試合は故障欠場)したが、今シーズンは29試合に減り、その一方で途中交代は過去5年で最多の5回に増えた。5月にはバカンスを与えるなど、精神面でのケアも忘れなかった。
 
 象徴的だったのが、CL決勝でのパフォーマンスだ。アトレティコ・マドリーと戦った昨シーズンのファイナルは終盤に足が痙攣し、走ることすらままならなかった。しかし、今シーズンは90分を通して運動量が落ちず、チャンスと見れば一気のスプリントで敵DFを置き去りにしてゴールを奪ってみせた。
 
「後半はチームとして今シーズン最高の出来だった」
 
 試合後にそう振り返ったのはC・ロナウドだ。2得点を挙げたこのエースをはじめ、チーム全体の好パフォーマンスを引き出したジダン監督の巧みな用兵術こそ、戴冠を引き寄せた最大の原動力だ。
 
取材・文:高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 

最終更新:6/5(月) 7:52
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