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自民党 24時間態勢ネット監視やJ-NSC設立で情報戦強化

6/6(火) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 コラムニスト、故・山本七平氏は1977年に刊行された著書『「空気」の研究』でこう書いている。〈「空気」とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。一種の「超能力」かも知れない〉

 この妖怪は厄介だ。なにしろ、空気が読めなければ「KY(空気が読めない)」と呼ばれてコミュニティから排除されてしまう。けれども、ひとたび「空気」を味方につければ、どんなにスキャンダルが出ようとも、政治が不公平でも、政権は批判を浴びない。そればかりか、批判者の方が批判されるという不思議な現象が起きる。

 いま、日本社会に不思議な現象が続いている。大臣の失言が続いても、森友学園問題やや加計学園問題で批判を浴びても、なぜか安倍内閣の支持率は下がらない。逆に“告発者”である森友の籠池泰典・前理事長、前川喜平・文科省前次官らが大メディアであたかも“ヘンな人”であるかのように扱われている。どうやら安倍首相は「空気という妖怪」を手なずけているらしい。

 10年前に「KY総理」と呼ばれ、「空気」に押し潰されて総理の椅子を放り出した安倍晋三首相が、どのような「空気の研究」を行ない、味方につけることができたのか。

 安倍官邸による「空気の研究」の端緒は、2009年の総選挙で野党に転落した自民党が立て直しのために取り組んだ情報分析会議だった。

 メンバーは党報道局長の茂木敏充氏(現政調会長)をはじめ、世耕弘成氏(現経産相)、平井卓也氏(現IT戦略特命委員長)、加藤勝信氏(現一億総活躍相)など現在、安倍政権の中枢を担っている側近たちだ。

 当時は民主党の蓮舫氏が「仕分けの女王」として脚光を浴び、新聞・テレビは民主党の記事一色。自民党は国民から見向きもされず、失意のどん底に沈んでいた。

 自民党の情報戦略のブレーンを務め、政権奪回後までの4年間の取り組みを内部から描いた『情報参謀』の著者・小口日出彦氏が振り返る。

「野党になると新聞もテレビもとりあげてくれない。会議の最初に『自民党の露出はゼロです』と説明しました。大メディアが報じないからネットしかなかったのです。全員切羽詰まっていました。そこで自民に好意的な情報からネガティブな情報まで丹念に集めて直視してもらうところからスタートした。メンバーは情報戦略の重要性をよく理解していたから、徹底的に議論して情報を分析し、表現方法なども研究した」

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