ここから本文です

仲代達矢「この映画で『老いもまたよきかな』という気持ちに」

6/6(火) 17:45配信

ザテレビジョン

 仲代達矢主演の映画『海辺のリア』の初日舞台挨拶が、6月3日(土)に東京・テアトル新宿で行われ、キャストの仲代、阿部寛、原田美枝子、黒木華と小林政広監督が登壇した。

【写真を見る】仲代達矢(右)、原田美枝子(左)

 同作品は、長編16作目となる小林政広が脚本・監督を務めるオリジナル脚本の意欲作で、認知症の疑いのある往年の大スターと彼を取り巻く人々との交流を描いたもの。小林監督と仲代によるタッグは『春との旅』('10)、『日本の悲劇』('13)に続き、3作目。

 仲代演じる主人公の桑畑兆吉は、役者として半世紀以上のキャリアを積み、俳優養成所を主宰する大スターだった。だが、今や認知症の疑いがあり、長女の由紀子(原田)と由紀子と愛人関係にある謎の運転手(小林薫)に裏切られ、高級老人ホームへ送られる。ある日、施設を脱走した兆吉があてもなく海辺を歩き続けていると、妻とは別の女性に産ませた娘、伸子(黒木)と突然の再会を果たす、というストーリー。

 上映後に行われた舞台挨拶では、客席からの割れんばかりの拍手の中、登場した仲代は「万雷の拍手ありがとうございます。今日はお忙しいところ、こんなにたくさん観ていただきましてありがとうございます。皆さんどう思われたでしょうか?」と挨拶。

 また、小林監督は「僕の映画でこんなにたくさんのお客さんが来るのは初めてで…」とユーモアたっぷりに話して会場の笑いを誘い、「2年前に台本を書き始めて、仲代さんにやっていただけることになったのはいいのですが、その間に仲代さんが文化勲章を受章されて、『文化勲章を受章された方にこんな芝居をやってもらっていいのかな』と思って少し悩みました」と告白。

 阿部は仲代との共演について「今回の撮影が本当に楽しみでした。こんなすごい人と、こんなすごい監督たちとやってきている方とお仕事できるんだなと思って、『この瞬間が宝になるだろう』と、毎日毎日心に刻みながら撮影していました」と振り返った。

 仲代とのシーンがほとんどだったという黒木は「こんな贅沢な経験をさせてもらっていいのだろうかと思いながら、楽しくも緊張感のある現場で、とても幸せな時間を過ごさせていただきました」とコメント。仲代との共演が3度目となる原田は「仲代さんがスクリーンに出てきただけで、その空気感と言いますか、芝居を何十年もやってきた方でないとできない芝居だと思いました」と明かした。

 そんな中、司会者から「今後、仲代さんにやってもらいたい役は?」と聞かれた小林監督は、「次は、『シャイニング』のジャック・ニコルソンのような役をやりません? って聞いたら、すごく嫌な顔をされた」という話を披露。監督の言葉に仲代は「ちょっと恐ろし過ぎますよね?(笑) 監督に悪役とかやってみたいですねと話したらそう言うものだから、怖すぎませんか? と言ったんです」と話し、会場を沸かせる一幕も。

 ほか、仲代が作品について「高齢化の問題について描いた作品ですが、この映画を撮って『老いもまたよきかな』という気持ちになりました」と語ると、阿部は「俳優として、年齢を重ねると台詞が覚えられなくなるんじゃないかという恐怖があったのですが、撮影での仲代さんの台詞を一字一句間違えない姿に、俳優としての希望の光を見ました」と明かし、常人を超越した仲代に感銘を受けたことを告白。

 また、黒木も「目が素敵で、瞳の中に人間性とこれまでの経験が渦巻いていて吸い込まれそうでした。私もたくさんの経験を積んで、いつかこういう深みのある目になれればいいなと思った」と話した。

 最後に仲代は「私は、出演者でありながら素敵な映画ができたなと思ってるんです。ですから、そういう風に思ってくださるお客さんが一人でもいらしてくださるととても嬉しいです。どうぞよろしくお願いします」とコメントしてイベントを締めくくった。

 日本映画専門チャンネルでは、同映画の公開を記念して「特集 役者 仲代達矢」と題し、仲代出演作品を特集して放送中。

最終更新:6/6(火) 17:45
ザテレビジョン

記事提供社からのご案内(外部サイト)