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【レゲエの魂】ジーン・クレールのカルチャーメモ

6/6(火) 12:11配信

GQ JAPAN

音楽の一つのジャンルというよりもムーブメントと呼ぶのがふさわしいだろう。私が初めて出会ったのは60年代、イギリスに移り住んだときだった。そのスピリチュアルなメッセージは今では広く知られるところだ。

【輝かしい人々と音楽の世界を発見する】

ラスタファリアン(正しくは「ラスタファライアン」)のシンボル的なヘアスタイル、ドレッドロックスの起源は古く、旧約聖書のレビ記にある「頭髪の一部をそり上げたりしてはならない」に従ったものだ。彼らはより自然な生活を送ることに重きを置き、“アイタル(自然、真実)”を信条とする。また、ハイレ・セラシエの再来を固く信じている。その哲学は多くをジャマイカの国民的英雄であるマーカス・ガーヴェイの考えに依拠し、エチオピアを母なる地としている。そして、これらを宗教として信奉し、信仰を持たないのにゴルゴンのようなドレッドロックスにしている人を”羊の皮をかぶった狼”と呼んでいる。

ラスタの人々は世界中におよそ100万人いるといわれているが、もちろんその多くはジャマイカ・キングストンに住んでいる。また、「レゲエ」という言葉と音楽はジャマイカのミュージシャン、トゥーツ・ヒバートに由来する。1968年頃、彼のバンドであるトゥーツ&ザ・メイタルズに『Do the Reggay』という楽曲があったのだ。レゲエのルーツは幅広く、ソウル、スカ、またスカが発展したロックステディが挙げられる。これらの音楽とレゲエの大きな違いは、音楽の作りを除くと、そのメッセージ性だ。絶望から生まれた自由と希望。最近よく耳にする、シャギーのようなレゲエミュージシャンを自称する輩とは異なる。

私がこの音楽にのめりこむきっかけは、ラヴァーズ・ロックだった。ジョン・ホルトやパラゴンズ、あるいはもっとダブに近いもの。ラス・マイケルが率いたサンズ・オブ・ニガスの精神性は、私には美徳に感じられた。彼らの音楽の多くはトロージャン・レーベルからコンピレーションアルバムとして発表され、レコード店ではなく、スーパーマーケットで販売されていた。そんなアルバムを1枚買うと、マーシャ・グリフィスやメロディアンズなどが、スカやブルー・ビートの名曲も交えて30曲も入っていたものだ。しかし具体的に欲しい曲がある場合は、あちこちのレコード店を探しまわり、そこの常連にならなければならない。アルバムを買おうとしたら一人のラスタに袖をつかまれて「これはお前にはやらない」と言われたことがあった。そのため、もう少し雰囲気のいいブリクストンに行って、デズモンズ・ヒップ・シティというレコード店でデズモンド・デッカーを買ったりしていた。黄金の声を持つデニス・ブラウン、グレゴリー・アイザックス、イエローマン、それから“トースター”と呼ばれるDJのI・ロイやU・ロイ、イーク・ア・マウス、ビッグ・ユースのレコードもここで買った。

レコーディングのレベルはキング・タビーがエンジニアだった時代やアップセッターのリー・“スクラッチ”・ペリーの頃に比べると格段に良くなっている。しかし、レゲエという音楽は時を経て骨っぽさやファンクな精神、あるいは正統性を失ってもきた。武骨な強さや説得力が今はなくなっているように思われる。それに、多くのスターも世を去った。デニス・ブラウンが亡くなった日には泣いた。

最近は“ジャワイアン”なる音楽シーンが出現している。ハワイとジャマイカのサウンドがミックスされたもので、なかでもハンボーソウルはとても気に入っている。フィーリングがとてもいい。

東京ではジャミンという店によく行っていたが、今も営業しているかは分からない。オーナーはライチャスと言って、話し好きで人のよい人物だった。

この文章を読んで、輝かしい人々と音楽の世界を発見してもらえれば嬉しい。

Gene Krell

最終更新:6/6(火) 12:11
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