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奥久慈しゃもの駅弁を求め、朝ドラ「ひよっこ」の里へ

6/6(火) 14:31配信

旅行読売

水郡線
水戸→袋田→常陸大子●茨城

 時代は東京五輪前の1960年代前半。中学生、高校生は金の卵ともてはやされ、地方から上京した。NHKの朝の連続テレビ小説「ひよっこ」はそんな時代の物語である。有村架純演じる主人公の谷田部みね子は、架空の奥茨城村出身。集団就職列車の中で、ひとり寂しく座る少女を「こっちさこねぇか? ほれ」と招き、弁当を分け合って食べるシーンが印象に残っている。
 ドラマに刺激され、茨城県北部を走る水郡線の日帰り旅に出た。起点の水戸駅へは上野駅から常磐線普通列車で約2時間だ。
 ローカル線と聞くと旧式列車が走るイメージを抱くが、水郡線は違う。車体はカラフル。座席は座り心地良く、トイレも備える。終点の郡山駅まで乗り通すと3時間半の長旅になるが、快適な列車旅が楽しめそう。
 車掌の「あえて言うなら右側」というアドバイスに従い座席を確保すると、ほどなく出発。市街地を抜けると、左右に水田が見え始めた。白壁、青屋根の木造駅舎が印象的な下菅谷(しもすがや)駅を過ぎると、沿線の民家や田畑がぐっと近付く。水田沿いの道を自転車で走る女性に、主人公の姿が重なって見えた。
 下小川(しもおがわ)駅を過ぎると久慈川が姿を現す。蛇行する川の流れに寄り添うように列車は走り、長いトンネルを抜け、鉄橋を渡ると袋田駅に到着。最初の途中下車をした。
 駅前から路線バスに乗り、袋田の滝へ。日本三名瀑の一つに数えられ、巨大な岩壁を水流が滑るように四段に落下する。ビューポイントは三つ。第1観瀑台は間近に、第2観瀑台は見下ろすように、吊り橋は遠景と、視点を変えて名瀑を眺められるのが面白い。

旅館が作る名物駅弁を求めて

 タクシーで袋田駅に戻り、隣の常陸大子駅で下車。目当ては駅前にある玉屋旅館が作る「玉屋の奥久慈しゃも弁当」(1000円)だ。実はこれ、駅弁ファンの間では知られた水郡線の名物駅弁なのだ。誕生は1985年。「つくば科学万博」の関連イベントとしてSLが水郡線を走ることになり、当時出回り始めた奥久慈しゃもを使った駅弁が生まれた。
 奥久慈しゃもは弾力ある肉質と豊かなうまみが特徴だが、火の入れ方が難しいという。
 「フライパンに水を加えて蒸し焼きにする感じ。こまめにアクを取ることで見た目がきれいになるんです」とは、大女将の長谷川積子さん。この作業だけはスタッフに任せず、必ず自ら行うそうだ。
 お重として旅館の客室で味わうこともできるが、やはり弁当がいい。久慈川の畔で味わうのもオツではないか。フタを開くなり胸肉をかじる。歯応えを感じるが硬くはなく、噛むほどにうまみが増す。ビールを買い忘れたことを悔やんだ……。
 常陸大子駅からは一気に安積永盛駅を目指す。途中、高校生カップルが乗り込み、はす向かいの席に座った。スマートフォンをいじり出すだろうと思っていたが、手を握り楽しげに話をしている。青春だな。じろじろ見るのは野暮というもの。反対の車窓を見続けた。

文/内田 晃

■データ
袋田の滝
8時~18時(11月~4月は9時~17時)/無休/300円/電話0295・72・4036(袋田観瀑施設管理事務所)

玉屋旅館
9時~19時/無休/電話0295・72・0123

最終更新:6/6(火) 16:11
旅行読売

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