ここから本文です

労働力不足でも経済成長は十分に可能

6/6(火) 11:10配信

Wedge

 アベノミクスにより景気が回復したことで、それまで失業が問題であった日本経済が、労働力不足に悩むようになりました。アベノミクスによる経済成長が僅か4.5%(年率1.1%)であったにもかかわらず、労働力が不足するようになったことで、「日本経済は労働力不足だから、もう成長できない(日本経済の潜在成長率はゼロである)」と考える人も増えてきました。

 しかし、筆者はそうは考えていません。日本経済は、労働力不足を乗り越えて成長し、経済体質が強化されていくだろう、と前向きに捉えています。今回は、労働力不足が日本経済にもたらすプラスの効果について考えてみましょう。

労働力不足は省力化投資を促す

 これまで、日本には失業者が大勢いましたから、企業は安い労働力を容易に用いることができました。飲食店は皿洗いをアルバイトにさせていたのです。しかし、労働力不足になりアルバイトの時給も上昇して来ると、飲食店は自動食器洗い機を購入するようになります。

 そうなれば、食器を洗っていたアルバイトが接客にまわれるので、店の収容可能人数が拡大します。労働生産性が上昇したので、従来と同じ労働力で従来以上の付加価値が生産できるようになったのです。これを日本中の会社が行えば、労働力が増えなくてもGDPが増やせるのです。

 食器洗い機だけではありません。これまで省力化投資をするインセンティブが乏しかったので、企業はあまり省力化投資をして来ませんでした。従って、いたる所に「少しだけ省力化投資をすれば労働生産性が大幅に改善する」余地が転がっているのです。

 省力化投資に限りません。企業が古い設備機械を最新設備に置き換えることで、従来より少ない人数で従来と同じ量の製品が作れるようになるケースもあるでしょう。日本企業は、儲かっても設備投資をせず、古い設備機械を我慢して使っている企業が多いので、維持更新投資によって労働生産性が大きく向上する余地はいたる所にあるのです。労働力不足が、こうした投資を促すことが期待されます。これは、日本経済が効率的になるということですから、素晴らしいことです。

 余談ですが、労働力不足がこうした省力化投資や維持更新投資を促すとすれば、設備投資が増加して設備機械メーカーが潤い、景気が一層回復するという面のメリットも期待できるでしょう。マクロ経済を考えると、労働力不足は決して困ったことではないのです。

1/4ページ

最終更新:6/6(火) 11:10
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2017年10月号
9月20日発売

定価500円(税込)

■特集  がん治療の落とし穴 「見える化」で質の向上を
・玉石混交のがん治療
・質を競い合う米国の病院
・効果不明瞭のまま際限なく提供される「免疫療法」の〝害〟