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遊技業界が養成する「パチスロアドバイザー」認定講座に希望者が殺到中

6/6(火) 16:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 連日続く森友や加計の与野党の無駄な舌戦、「共謀罪」や「退位特措法」等の重要法案等の審議により、一時は急ピッチで進められていた「ギャンブル等依存症対策法案」の審議可決は次回の国会に持ち越される様相である。

 勿論、水面下では関係省庁による調整が図られていて、公営ギャンブル場に設置されているATMのキャッシング機能の廃止や、入場規制に関わるルール作り等が進められている。

 そんな中でもギャンブル等依存症対策に一番熱心なのがパチンコ業界である。

 法的には、風俗適正化法の範疇に収められ、あくまで「娯楽」という扱いではあるが、実質的には、ギャンブル的な要素を多く抱え、政府が進めるギャンブル等依存症対策においても、最重要視されている業界である。

 以前、パチンコ業界が新たに取り組む「自己申告プログラム」について紹介したが、次なる対策が打ち出された。それは「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」(以下略「PPアドバイザー」)の輩出。パチンコ業界は今、この「PPアドバイザー」の育成に向け全力をあげている。

◆「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」とは何なのか?

 パチンコ業界が育成に全力を注いでいる「PPアドバイザー」とは、パチンコホールにおいて、依存問題に悩む本人や、その家族からの相談等を受け付ける窓口相談員。今後数年間で、全国のパチンコホールに1人以上配置することを目指している。

 この「PPアドバイザー」の輩出に向けて、パチンコ業界では、パチンコホールのスタッフを対象にした全国的な講習会を開催していく。講師には、長年パチンコ依存問題に悩む人たちの電話相談を受け付けてきた、認定NPO法人リカバリーサポート・ネットワークの西村直之代表を招聘し、パチンコ依存問題や依存問題を抱える人たちに対する対応について学ぶ。パチンコ業界では当面、半年間で4000人の「PPアドバイザー」の輩出を目指している。

 現在、この「PPアドバイザー」育成のための講習会への参加申込には希望者が殺到している状況。全国のパチンコホールの依存問題への関心の高さがうかがえる。

 またこの「4000人」という規模感もポイントだ。

 政府が進める、ギャンブル等依存症対策法案の成立に向け、関係省庁の水面下での調整が具体化していくなか、一番に俎上に上がるパチンコ業界が積極的に対策しているとアピールできれば、業界を所管する警察庁にとっても、国会審議等の様々な場面で有用であろうし、業界としても警察庁に対し面目が立つ。

◆たった1日で取得できる“認定資格”を不安視する声も

 一方で、この「PPアドバイザー」育成について、業界関係者のなかでも一定の憂慮を示す人もいる。

 実際の育成講習会は単日で行われるもので、試験等の効果測定も行われることなく「PPアドバイザー」として認定されてしまう。

 パチンコホールのスタッフが、依存問題に関心を持ち、一定程度の専門知識を得ること自体は良いことであるが、実際の業務において、依存問題に悩む本人や、その家族の相談に対応出来るかといえば疑問符が付く。

 勿論、「PPアドバイザー」としての役割は、あくまで「相談の窓口」であり、前述の「自己申告プログラム」の説明や、電話相談機関である「リカバリーサポート・ネットワーク」への橋渡しであり、依存問題改善に向け直接的にアクションを起こす訳ではないが、講習会に参加した全員が全員真面目に受けている確約はなく、仮にほとんど専門的な知識を持たないスタッフがいたとして、そのスタッフに相談を持ち掛けたらどうなるのか、というのも想定されなくはない。

 業界側でも、今後は講習会のクオリティーの向上を課題としており、また「PPアドバイザー」に認定されたスタッフの告知(店内外のポスター等での告知、腕章等での告知)には一定の準備期間も設けることで、内側の充実を図っていく。

 待ったなしで推進されていく、ギャンブル等依存症対策。パチンコ業界としては、自らの存亡にすら関わる事態であることを重々承知している。今後、より一層の対策の充実が待たれるところである。

<文・安達 夕 @yuu_adachi>

ハーバー・ビジネス・オンライン