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マンガの常識を突き破った名作がよみがえる『To–y』&『SEX』上條淳士 インタビュー

6/6(火) 11:00配信

ダ・ヴィンチニュース

「上條淳士」という名前は、80年代に10代を過ごした読者にとって、新時代の到来を告げる革新的な響きを持つ。
代表作『To–y』30周年記念の完全版に続き、次作『SEX』の完全版がついに発売。30年を経て今なお古びない圧倒的なセンスを感じてほしい。

沖縄から福生へ――。米軍基地のある街で逃避行を続けるユキとナツ。そして紅一点のカホの3人の若者を描いた群像劇。タイトルの「SEX」は性差や国境を意味し、それぞれを隔てる境界線がテーマとなっている。
(c)Atsushi Kamijo 2017

かみじょう・あつし●1963年東京都生まれ。83年にマンガ家デビュー。84年に「週刊少年サンデー」にて『ZINGY』(雁屋哲/原作)で連載デビュー。85年から同誌にて『To-y』を連載。87年より「ヤングサンデー」にて『SEX』を連載。その他の作品に『赤×黒』(上下巻)、『8―エイト―』(全4巻)、『DOG LAW』(武論尊/原作)がある。

 インディーズバンドのボーカルだった少年が、芸能界を席巻する姿を描いた『To-y』は、予定調和のムードが漂う80年代という時代に風穴をあける当時最先端のマンガだった。1985年に「週刊少年サンデー」で連載が始まったこの作品が、2015年に30周年を迎えたことを記念して、全5巻の完全版が刊行された。
 リアルタイムで読んでいた読者にとって、『To-y』は特別な存在だった。まずクールな天才肌の主人公が少年誌初のヒーロー像だったし、マンガにPUNKというアンダーグラウンドなカルチャーを取り入れたことも目新しかった。そして、これまでのマンガの常識を覆す「音」の表現がとにかく革新的だった。今でこそ『BECK』や『NANA』といったバンドマンガが一ジャンルを形成しているが、その先駆者にして原点ともいえるのが『To-y』なのである。
『To-y』完結後、1987年に上條淳士は次作『SEX』を発表。2017年から30周年記念の完全版が順次刊行される。
 あらためて『SEX』を読み返して驚いた。まったく古びないどころか、17年の最新作だと言われても納得しそうな新しさを感じさせるのだ。この圧倒的なセンスは一体何ごとだろう。
 今回、上條淳士原画展「音楽の部屋」で美麗なイラストに囲まれながらインタビューを行うという貴重な機会が得られ、まずは『SEX』という作品が生まれた背景からお聞きした。

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