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20歳以上の8割は歯周病 実は若い人にも多い

6/7(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 日本の成人の約8割がかかっているという歯周病[注1]。「沈黙の病気」と呼ばれる通り、初期の段階では自覚症状が乏しく、受診した時には手遅れで歯を失う人もいるほどだ。だが、歯を失う原因の第1位が歯周病である[注2]ことは、意外と知られていない。歯周病の最新治療や知っておきたい予防法を、日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座教授の沼部幸博氏に聞いた。

■歯周病は、全身の病気に関連する「感染症」

――歯周病は高齢者の病気というイメージがあります。実際のところ、原因は何なのでしょうか。

 歯周病が高齢者に多いのは確かに事実です。しかし、20歳以下でも軽度の歯周病を持つ人は6~7割近くいますから、加齢だけが原因ではありません。

 歯周病の最大の原因は、不十分な歯みがきによるプラークの沈着です。歯の表面や歯と歯肉の間にたまる白いカスのようなものをプラーク(歯垢)といいますが、これは食べカスではありません。たくさんの虫歯菌と歯周病菌が凝集して歯の表面にくっついた状態です。歯周病菌の正体はグラム陰性嫌気性桿菌といって、「空気を嫌う」、つまり空気の少ない場所を好む菌です。プラークを放置し厚みが増してくると、歯周病菌が増えて悪さを始めます。

――原因となる菌があるということは、歯周病は感染症の一種なのでしょうか。菌がどのように働いて進行するのか教えてください。

 歯周病は感染症といって構いません。健康な歯肉はピンク色ですが、歯と歯肉のすきま(歯肉溝)にたまったプラーク中の歯周病菌が歯肉に入りこもうとすると、歯肉が赤く腫れる歯肉炎を起こします(図1)。このプラークはやがて石灰化して歯石になります。

 歯肉炎を放置して病気が進んだ状態が歯周炎です。歯周炎になると、歯と歯茎の間の溝が深くなり、プラークや歯石がさらに根元にもぐりこんで菌の感染が広がり、歯の周囲の骨(歯槽骨:しそうこつ)が溶け始めます。すると、歯肉が後退して歯と歯の間隔が空いて歯が揺れるようになり、最終的には歯が抜け落ちたり、抜歯せざるを得なくなることもあります。

――歯周病は全身の病気と関連すると聞いたことがあります。どうしてなのでしょうか。

 歯周病菌は、白血球を攻撃するために毒素やさまざまな物質を出しますが、白血球も菌に対抗してさまざまな物質を出して戦って炎症が生じ、歯周病菌や炎症物質が集積します。この戦いが原因で歯肉が腫れ、歯周病菌や炎症物質は毛細血管を経由して全身に飛び火します。その結果、糖尿病や心疾患、脳卒中などの病気に関連するのです。

 最近では腎臓病や関節リウマチ、認知症、がん、さらに女性の場合は早産や低出生体重児にも関連するといわれます。口の中の歯周病菌が直接気管に入り込むことによって、誤嚥性肺炎[注3]の原因にもなります。
[注1] 厚生労働省2011年「歯科疾患実態調査」
[注2] 財団法人8020推進財団2005年「永久歯の抜歯原因調査」
[注3] 誤嚥性肺炎:歯周病菌などの微生物を含む唾液が誤って気管に入り、肺で炎症を起こしたもの。飲み込む機能が低下した高齢者に多い。


 中でも、歯周病と関係が深いのが糖尿病です。歯周病を放置して炎症物質が血管に入り込んで全身に運ばれると、膵臓から分泌されるインスリンの働きがブロックされます。インスリンは血糖値を下げるホルモンなので、その作用が低下すれば血糖値が下がらず、糖尿病が悪化するのです。反対に、糖尿病がある人の歯周病を治療すれば、血糖値のマーカーであるHbA1c[注4]が下がって改善することがわかっています。口の中の炎症をなくすことが、糖尿病の改善にもつながるのです。

 また、心臓の血管を狭めたり動脈硬化を引き起こすメカニズムに歯周病菌や炎症物質が関与し、狭心症や心筋梗塞の原因の1つであることも知られています。同じ状況が脳血管で起これば脳梗塞に至ることもあります。

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最終更新:6/7(水) 7:47
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