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ネットの反差別運動の歴史とその実態【1/4】

6/7(水) 18:31配信

NEWS ポストセブン

 ここ何年も、外国人に対するヘイトスピーチがネット上に蔓延しており、重大な人権侵害となっている。となれば、反差別の運動も目立つようになるが、現在、ネット上で起こっている反差別運動の実態はどうなっているのか。これまでのネットを中心とした反差別運動の歴史をひもときつつ、「レイシストしばき隊」ら“反差別界隈”の動きと現状について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏がレポートする(全4回中第1回・文中一部敬称略)。

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 2017年6月2日、奇妙なキーワードがヤフーリアルタイム検索のトレンドワード1位を獲得した。それは「奇妙な果実」である。これは、アメリカのソウル歌手・ビリー・ホリデイによる曲のタイトルだ(原題=Strange Fruit)。「奇妙な果実」とは、アメリカの差別主義者の白人によって木に吊るされて死んだ黒人のことを意味する。漫画『美味しんぼ』3巻でも登場したことで、知った人も多いだろう。ジャズバーでソウル・シンガー「サディ・フェイガン」が同曲を歌うが、客席の山岡士郎と栗田ゆう子はこうやり取りをする。

〈栗田:これは…何と言う歌なの?
山岡:「奇妙な果実」、白人に私刑(リンチ)を受けて、木に吊された黒人の死体のことだ………。白人に虐げられててきた黒人の悲しみが哀切極まりなく胸を打つ……〉

 今回の「奇妙な果実」のトレンド1位入りが一体なぜ起こったのかといえば、ツイッターユーザー・BuddyLeeが、ハッシュタグ「#安倍を吊るせ」に乗っかる形で「奇妙な果実にしちまおう」と書き込んだことにある。「安倍を吊るせ」のハッシュタグを使い始めたのは野間易通という有名な活動家であり、反原発の活動を経て「レイシストをしばき隊」(現C.R.A.C.)の中心メンバーとなった人物だ。しばき隊は東京・新大久保のコリアンタウンなどで「朝鮮人をガス室に送れ!」「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」のように、排外的なデモをしていた在特会(在日特権を許さない市民の会)を中心としたネトウヨに対する「カウンター」として2013年2月9日に登場した。

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