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赤羽雄二氏語るこれから10年「企画や開発、マーケティングなどの仕事は比較的長く続く」ワケ

6/7(水) 8:00配信

BEST TIMES

マッキンゼーで14年間活躍し、現在も国内、国外の大手企業、ベンチャー企業で経営戦略の立案や実行支援、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードしているブレークスルーパートナーズ株式会社・マネージングディレクターの赤羽雄二さん。『3年後に結果を出す 最速成長』(KKベストセラーズ)を刊行するのに併せて、最先端のコンサルタントの世界から見た、これからの10年と対応策について訊いてみた。

 弁護士、医師など高度な専門職

と思われていた仕事も減る

──前回まで、これからの10年で、運転、機械操作、倉庫作業、レジ打ちなどの肉体労働の大半がなくなっていく。加えて、肉体労働だけではなく、受付、秘書、管理、経理、会計、監査など、事務の仕事の大半もなくなっていくというお話でしたが? 

「もう少し付け加えておくと、税理士、会計士だけではなく、従来は花形であった弁護士の仕事もかなり減ると理解しています。会計と同じく、多くのやり取りがスマートコントラクトベースで実施されるようになると、個別の契約がなくなっていきます。

 一度しっかりしたスマートコントラクトを作っておけば、製品の代理店への納入、部品メーカーへの納入、顧客への配達、返品処理などが自動で済んでしまうため、個別に契約を締結する機会自体が減るからです。企業間の連携においては、まず秘密保持契約や各種の基本取引契約がありますが、それも一度締結が完了すれば、あとはスマートコントラクトで済みます。

 M&Aなどの複雑な案件で、非定型で高度な判断が継続して必要な場合には、弁護士の活躍の場が残ります。ただ、根本的には、大量の資料を読み込み、事例・法令研究をして交渉をしたり、裁判を戦ったりする業務自体、AIが非常に得意とすることなので、かなり多くの仕事がなくなると思われます。

 医師も同じですね。例えば、ガンの最新の治療法などは、毎日読み切れないほどの新しい論文が発表されます。この症状、症例に対してもっとも効果的な方法が何なのか、どういう治療法がどのくらい試されていて、どういう結果を出しているのか、などは、これもAIがもっとも得意とする分野です。また、体調や気分に合わせた温度・湿度コントロールや、病気の未然防止、自動診断・自動問診システムの利用などにより、風邪、腹痛などの理由で病院に行く人が減っていきます。病気になりにくくなりますし、今よりもはるかに効率的な方法で診断できるようになります。

なくならない仕事の条件とは? 

──これまでのお話で、ほとんどの仕事がなくなって行く状況が、たしかに現実味を増してきました。では、逆になくならい仕事についても教えてください。

「こうやって仕事がなくなっていく分、一人ひとりの仕事は当面、AI、ロボットなどに置き換えにくい仕事、すなわち企画、開発、マーケティング、デザイン、営業、カスタマーサポート、接客、経営、コンサルティングなどに移っていきます。これらも、その中での調整や書類作成はIT化で減りますし、技術の進化に応じて減っていきます。

 どの仕事がどういうペースで減っていくかは誰にもわかりません。ただ、最先端企業をフォローしたり、ときどき発表される働き方改革などの情報をウォッチしたりしておくとヒントが多数あります。

 企画や開発、マーケティングなどの仕事は比較的長く続くでしょう。独自性が必要で、洞察力が活きる分野だからです。もちろん、これらの中でも定型化された部分は、AIアシスタントに置き換えられていく可能性は十分あります。 

 企画、開発、マーケティングなどの仕事においては過去事例を参考にすることが多くあり、そういった事例を集めることはAIが得意ですし、定型的なものから徐々に仕事を奪っていく可能性があります。ただ、独自性、洞察力が必要な分野に関しては、時間がかかります。

 経営やコンサルティングの仕事も、判断が多く、当分はAIに置き換えにくいと思います。顧客ニーズへの深い理解を持ち、競合状況を的確に理解し、ユニークな内部事情などを踏まえた上でベストな判断をしていく必要があるからです。ただ、比較的単純なコスト削減や、インターネット情報に基づく競合分析などはAIに置き換えられていきます。

 接客やマッサージなど、人が行うことに価値がある仕事もある程度は残っていきます。人型ロボットが「いらっしゃいませ」と言うことで済む仕事ばかりではないからです。

 ただし、自分の仕事に自信があっても、なくなった仕事から大量に人が流れてくると、これまで安定していた仕事も危うくなるということをお忘れなく」

写真/高橋亘

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