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【私が愛する建築家たち】ジーン・クレールのカルチャーメモ

6/7(水) 12:11配信

GQ JAPAN

ご存じのとおり、私は生まれも育ちもニューヨーク。ニューヨーカーなら当然のことだが、建築が大好きだ。私は摩天楼の光景とともに育った。その摩天楼の美しさをひらいたのは、優れた建築家でありながら必ずしも正当な評価を得ていないルイス・サリヴァンだと言われている。私は旅をするとき、必ず建築にも注目している。たとえば最近シンガポールを訪れたが、70年代後半のブルータリズム建築など、街並みの力強さがとてもよかった。まったく堂々たるものだった。

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そこで今回は、私が好きな建築家を何人か挙げていこうと思う。最初はル・コルビュジエ。彼は先見の明を持った人物で、その時代がやって来るはるか前に、私たちが都市生活で直面することになる問題を理解していた。彼の「住むための機械」と称される住宅にはフォルムと機能への理解が簡潔に表現されている。その簡素かつ堂々たる姿は、今われわれが見る世界のまさに写し絵だ。故郷を失った人々の苦悩を語ってくれるようで、とても大きな意味を感じる。

雑誌編集部の人にフランク・ゲーリーに会ってインタビューしないかと言われたとき、私は韓国に住んでいた。もちろん私はそのチャンスに飛びついたのだが、結局実現しなかった。しかし、いい思い出だ。しばしば”デコン”と呼ばれる脱構築主義建築とは何なのか、実際のところ私には分からないのだが、機能優先ではないということなのだろうと想像している。彼がつくったビルバオ・グッゲンハイム美術館は、その革新的な様式の代表作とも言えるだろう。この美術館は私にとって、彼が現代の最も偉大な建築家の一人であることの証明のように思える。その構造、巧みなフォルムには圧倒されずにいられない。

フランク・ロイド・ライトは、私にとって歴史上最も偉大な天才建築家。彼のデザインした家が私のオールタイム・ベストだ。それは「落水荘」と呼ばれ、実際に滝の上に作られている。ラインとデザインの調和、そして有機的な構造には、比するべきものがない。ライトは強烈な自負心の持ち主であったことが知られているが、それはそれでよかったと私は思っている。彼ほどその自負心にふさわしい人物もいなかったのではないだろうか。

ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエは「より少ないことは、より豊かなこと」という言葉で知られていて、今日ではミニマリストと呼ばれているが、本人はこれを嫌うことだろう。ファンズワース邸として知られるワンルームの別荘のラインを見ると、これが正しい評価かどうかが分かる。ラインのシンプルさ、ほぼ一直線の動きは、彼をここまでの巨匠にした禁欲的な姿勢をよく示している。

かのジオ・ポンティは「それが機能するという理由において、建築は芸術の中で最も偉大である。それが実際的に機能するという理由においてだ」と書いた。ほかの意見があってもいいが、建築には比較を超えた壮大さがあることは確かだ。

Gene Krell

最終更新:6/7(水) 12:11
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