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13歳・張本智和こそ、水谷隼が「中国を倒すには必要」と熱望した才能

6/7(水) 7:40配信

webスポルティーバ

 あらゆるスポーツシーンを振り返っても、13歳の少年がこれだけ世界を驚嘆させたのは初めてではないだろうか。史上最年少の日本代表として世界選手権の舞台に乗り込んだ張本智和は、シングルス2回戦でリオデジャネイロ五輪シングルス銅メダリストの水谷隼を破る大金星をあげると、一気にベスト8にまで上り詰めた。

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 怪物、神童、100年にひとりの逸材......。さまざまな看板を背中に貼り付けられた少年の未来は、日本卓球界の悲願である“中国越え“につながっていくのだろうか。

「東京五輪で中国を倒すには、僕を超える才能が必要です」

 水谷隼がそう語ったのは今年3月。卓球専門誌が企画し、筆者がホスト役を務めた“天才・怪物対談“の場だった。水谷は「今のところ、その才能として思い当たるのは張本しかいません」と言葉をつなぐと、世界ジュニア選手権を最年少で制したばかりの張本は、憧れのメダリストの隣で照れ笑いを浮かべた。

 同じ13歳の時、水谷は自らの人生に卓球を重ねて考えることさえなかった。生まれ育った静岡の中学から青森山田中に転校し、武者修行のためにドイツへ渡るのは14歳になってからである。

「13歳当時の僕と張本では、比べものにならないぐらい張本が上です。おそらく、僕の3年先を走っている感覚でしょう」

 対談の中で、水谷はそうも言った。実際、2005年世界選手権上海大会に初出場し、シングルス2回戦で当時の世界ランキング8位の莊智渕(チュワン・チーユエン/台湾)を4-3で破って世界中の卓球ファンを驚かせたのは、水谷が15歳10カ月の時。世界ランキングは183位だった。

 強引な言い方をすれば、卓球は番狂わせが起きやすい競技である。負けて失うものが大きいビッグネームが、捨て身で攻めてくるランキング下位の選手に足をすくわれることは決して珍しくはない。張本もまた、昨年の全国中学校選手権準々決勝で、相手にマッチポイントを握られる窮地を経験している。

 そうしたことをふまえて、水谷は才能を認めた後輩に「僕より3年以上も先を走っているんだから、張本もそろそろ張継斗(ジャン・ジーカ)や馬龍(マー・ロン)に勝たないといけない」と話を振った。今だからこそ、中国のトップ選手に勝つ“大物食い“のチャンスがある、と。

 まさか、自らが世界選手権で張本と対戦し、大金星を献上するとは思ってもいなかっただろうが、水谷はかつて自らが成し遂げた番狂わせを卓球の競技性と重ねてこう振り返ったことがある。

「莊選手に勝った時は怖いもの知らずで、どんどん攻めていけた。今、あの時のプレーをもう一度やれと言われても、できない。あの時よりも技術も経験も上乗せしているはずなのに、同じプレーができないんです。心のありようがそのままプレーに反映されるところも、卓球の奥深いところだと思います」

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