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体験的キック・ボクシング論─「強くなりたい」から「身体知」の発見へ

6/7(水) 12:20配信

GQ JAPAN

10年以上前に通っていた筋力トレーニングのためのジムが、あるとき用意したトレーニング・メニューのひとつだった「K-1エクササイズ」なるものに飛びついたのがはじまりで、以来、半年程度の中断を時にはさみながらも、週1回のペースでジム通いをつづけている。

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トレーニングは、元あるいは現役の選手とのマン・ツー・マンでのもので、ウォームアップのストレッチや軽い筋トレを15分ぐらいしたあと、グラヴをつけて1回2分か3分の、先生を相手にしたキックをまじえたミット打ちを3ラウンドから4ラウンドこなし、それが終わると10分ほどストレッチしてもらう、というものだ。たんにパンチだけでなく足を上げてキックもするので運動の強度が強く、ラウンド中は休みなくダッシュを繰り返しているようなものでもあるから、時間が短いわりには運動の量もとても大きい。前後のストレッチをふくめておよそ50分程度の練習のあとは、夏場なら600~700グラム、冬場でも300~400グラムぐらいは体重が落ちる。

キックをはじめたのは、たぶん、フィジカルに「強くなりたかったから」だとおもうけれど、それを10年以上つづけているいまは、ことさらに「強く」なりたいとおもっているわけではない。ではなぜつづけているのかといえば、運動すること、全身の筋肉を躍動させることのよろこびのためだとおもう。相手が選手の構えるミットだとしても、狙いすましてベストのパンチとキックを繰り出しているとき、カラダをフルに働かせている実感があり、それは頭をフルに働かせて難題や難書にアタックしているときのよろこびにも似た充足感をもたらす。やっぱりカラダもまたひとつの、そして独自の、高度な知的システム=体系であるから、身体的知性を鍛錬するよろこびが、そこにはあるのだ。

頭もカラダもフルに働かせているうちがハナだし、また、フルに働かせるようにしないで、なんの人生か、とおもわないでもないのである。

鈴木正文

最終更新:6/7(水) 12:20
GQ JAPAN

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