ここから本文です

鹿島・大岩監督が求めた3つのこと。新体制でも王者の哲学は変わらず

6/7(水) 7:50配信

webスポルティーバ

 鹿島アントラーズの新たな指揮官となった大岩剛監督は、サンフレッチェ広島に3-1と勝利した初陣を振り返り、「ホッとしている、というのと、90分間長かったな、というのが正直な感想です」と言って、安堵の表情を浮かべた。

【写真】日本代表での活躍が期待される鹿島の面々

 昨季のJ1王者である鹿島が、AFCチャンピオンズリーグの敗退を受けて、石井正忠監督の解任を発表したのが5月31日。同時に大岩コーチが昇格し新監督に就任することが決まったが、6月4日に行なわれたJ1第14節の広島戦まで、準備期間はわずか4日しかなかった。

 大岩監督自身も試合後には「みなさんが思われているとおり、いろいろあった中での試合だったので、難しい部分もあった」と、少ない時間の中で臨まなければいけなかったことへの苦労を吐露した。それでも選手起用と采配からは、少なからず新監督の”色”を感じることができた。

 広島戦に向けた限られた時間の中で、大岩監督が特に選手たちに求めたのは、次の3つだったと言う。

「チーム自体のコンセプト、ベースとなる部分はまったく変わらないので、それをもう一度、まずは思い出すこと。あとは、自分たちがボールを保持しているときに、シンプルにボールを動かすこと。そして、チャンスがあれば、積極的にボールホルダーを追い越していくこと」

 先発メンバーについては、「ケガ人が多くいる中で、選手の選択肢というのは限られていた」(大岩監督)とはいえ、抜擢したMF中村充孝が先制点を挙げ、MFレアンドロが2得点を奪った結果は、そうした新指揮官の意図、選手への意識づけが結実していた証(あかし)と言える。

 先制点が生まれたのは、前半14分だった。相手のロングフィードをセンターバックの植田直通がクリアする。そのボールを、ボランチの三竿健斗、中村とつなぎ、2トップの一角を担った土居聖真がボールを受けて中央をドリブルで駆け上がっていく。同時に、ボールを預けた中村が土居を追い越すと、最後は土居からのラストパスをフリーで受けた中村が右足を一閃。強烈なシュートを突き刺した。

 まさに新監督の狙いどおりだった。シンプルにボールを動かすプレーと、ボールホルダーを追い越していく動きによって決まった得点だった。その先制点をお膳立てした土居が語る。

「(FWで起用されたことに対する監督からの)期待というか、メッセージは伝わってきた。もちろん、自分が得点も決めたかったですけど、自分が生きることで、周りが生きると思っていたので、今日はそれをもろに出すことができたと思う」

 前半30分、レアンドロが挙げた2点目も同様だった。レアンドロが縦パスを入れて、中村とのワンツーから決めたファインゴールも、すなわち追い越す動きから生まれた得点である。

 ダメ押しとなる前半43分のゴールは、MF永木亮太のボール奪取からレアンドロへとつながったものだった。それも大岩監督が求めた、チームのベースとなる組織的な守備によって生み出された得点であり、連動したプレスの成せる業(わざ)だった。永木が言う。

「(前半43分の)得点も、前からボールを奪いにいった結果だった。そうした前への意識が高かったことが得点にまでつながったので、よかったと思います」

 キャプテンマークを巻いて出場したDF昌子源が、「実際にやるのは、僕ら選手。それを、みんなもわかっていたと思うし、その思いをしっかりとピッチで表そうとした」と、この一戦にかける思いを語ったように、選手たちも危機感を持っていた。そのうえで、大岩新監督が”鹿島の哲学”を取り戻させたことも勝利には大きかった。

1/2ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
4月13日発売

定価 本体1,472円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 平昌への道』
■ヘルシンキの激闘
■宇野昌磨、本田真凜ほか