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吉田戦車が伊勢神宮で買ってご満悦「木製コマ」500円

6/7(水) 16:00配信

SmartFLASH

 春休みに、妻の伊藤の取材に同行するかたちで伊勢旅行をした。
 
 以前妻と三重県伊賀市に旅行した帰りにたちより、お伊勢参りをしたことがあった。駅前はかなり様がわりしていたが、それなりになつかしい。

 シティホテルやビジネスホテルの部屋はほとんど埋まっていて、いわゆる和風旅館は少々高すぎる宿泊費だった。

 ゲストハウスと呼ばれる素泊まり宿の予約がなんとかとれていたので、そこにチェックイン。街をぶらぶらする。子供が「街歩き飽きた」とゴネはじめたので、コロッケを買い食いしておちつかる。

 さて、何か物欲をそそるものはありますかな? と、みやげもの店をながめたが、この日は特になく、伊勢神宮外宮にお参りして、初日は終了。

 翌日は、「相撲巡業ルポマンガ」を描くという妻の取材日。「伊勢神宮奉納大相撲」を観戦した。本場所ならマス席レベルの距離で観る相撲は、力士の体や動きを近くで見ることができて、ともおもしろかった。
 
 売店が出ていて、相撲グッズもいくつか並んでいる。人気力士の手形が売られていた。350円は安いが(プリントです)、特にひいきの力士がいるわけでもない人間が、旅先で手形色紙を買わなくてもいいだろう。

 終了後、観光客でごったがえす「おかげ横丁」でみやげもの店をのぞいたりしたが、長時間の底冷えする屋外観戦でぐったりしており、物欲も眠っているかんじ。
 
 伊勢市駅前にもどり、外宮参道をぶらぶら歩く。10年前ぐらいに来た時より、きれいな、今ふうのお店が増えている印象だが、年季の入ったみやげもの店や食堂もがんばって残っている。

 古くからあるオモチャ屋「たぬきや」に入った。日本人形などもあったが、凧など民芸オモチャ、駄菓子屋や縁日に並ぶような昭和のオモチャでいっぱいだ。楽しい。

 指でニチャニチャすると煙っぽいものが出る「おばけけむり」に軽くそそられたが、お伊勢様の門前で買うものではないだろう。ふと、木製のコマやケン玉が目に入った。とてもカラフルだ。

 新聞の切り抜きが貼られている。
「明治創業の伊勢玩具職人三代目による刳物(くりもの=刃物で木材をくりぬく細工物)。材料は地元のチシャの木やサルスベリが使われている」というようなことが書いてある。

「み」という文字をデザインしたらしい、三重県指定工芸品マークのシールもかわいらしい。しかもこれは、たぬきやだけの特注品だという。これだ! 500円。コマひも20円も買い求め、回す気まんまんだったが、さすがに旅行中にその余裕はなく、帰宅してから回した。とてもよく回る。
 
 回し飽きても、塗りがきれいなので、下駄箱の上などに飾ればいいのだった。
 そういうもので下駄箱の上、いっぱいだが。

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 1989年に連載開始の『伝染るんです。』が国民的大ヒット。『火星田マチ子』『ぷりぷり県』など著作多数。2015年、第19回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。近刊に『おかゆネコ7』『まんが親5』(ともに小学館)、絵本『走れ!みかんのかわ』(河出書房新社)。妻のマンガ家・伊藤理佐さんと小学2年生の娘を育て中

(週刊FLASH 2017年 6月13日号)

最終更新:6/7(水) 16:00
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