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【月刊『WiLL』(7月号)より】独占手記 我が「冤罪」169日勾留記

2017/6/7(水) 9:00配信

WiLL

米七麦三

 部屋の突き当たりには窓がありました。鉄格子は入っていませんでしたが、強化ガラスをはめ込んで仕切られていました。その窓の外側には外通路があって、窓から明かりが差し込んできましたが、幅10センチほどの目隠し金属板が上から下まで連続的に並べられており、外の景色はまったく見えません。
 起床は朝7時。私は習慣で朝5時には目が覚めてしまうので、時間を持て余してしまって、腕立て伏せや、畳んだ敷布団の下に足首を入れて腹筋運動をしたりしていました。すると、見回りの看守から、「まだ就寝時間です」と注意されたので、音を立てないように静かに体操や運動をやっていました。
 7時15分に「点検」と呼ばれる点呼があり、朝食は同25分から。
 週末の土日になると、7時30分起床で、点検は同50分頃。朝食は8時からと遅くなりました。
 食器は大食器と中食器、平皿の3種類があって、水色の薄手のプラスチック製でした。大食器が汁用、中食器がおかず用またはデザート用、平皿はおかず用。平皿は、6対4ぐらいに仕切られていました。
 食事の前に、「配当!」と号令がかかり、そのあとで、「大食器1枚、平皿1枚」というように指示があります。その食器を窓の台に置くと、食事が配られるのです。
 配る人たちは懲役刑に服している人たちです。善良そうな若者が多く、「なんでこんなに品行方正そうな人たちが懲役刑に服すのか?」と不思議に思うこともありました。
 東京拘置所は、「拘置所」と名がついていますが、私のように判決を待つ未決拘禁者のほかに、刑期が確定した懲役受刑者、それに死刑囚が収容されています。ここには、オウム真理教の麻原彰晃死刑囚が収容されているそうですが、私たちと顔を合わすことはありません。
 朝食は、「米七・麦三」の麦めしに味噌汁が基本。味噌汁は赤味噌で、具にはキャベツとダイコンがよく入っていた記憶があります。
 おかずは2品ぐらいつきましたが、どれも少量でした。たとえば、納豆や海苔、佃煮、ふりかけ、漬け物など。私がここで初めて食べたのは、パック入りの“生玉子もどき”がありました。正式名称は知りません。パックに生玉子のような粘性のあるゼリー状のものが入っていて、しょう油味も付いていました。ごはんにまぜると、たしかに玉子かけごはんのような味がするのです。
 昼食は12時頃で、夕食は午後4時20分。どちらも食器は3枚使いましたが、味噌汁はつきませんでした。味は、おいしいときもありましたが、あまりおいしくないことも。それでも、カレーライスだけは食べることができました。
 食器は、使用後に洗面台で各自が洗うことになっています。洗剤も用意されていました。
 食事以外にも、午前10時と午後3時には、おやつというわけではないのでしょうが、缶詰を開けてくれました。たしか、「開缶!」だか「缶開け!」という号令だったように思います。食事を配る人たちが回ってきて、差し入れされた缶詰を缶切りで開けてくれるのです。缶切りは危険という判断があったらしく、収容者は持たされませんでした。
 開けた缶詰は、いつ食べてもかまいません。私は食事の副食としても利用したものです。
 食料、衣類、日用雑貨などは、午前中に「願い事」を看守が聞きにくるので、そのときに購入を頼みます。ただし、拘置所内の売店で売っているものしか購入できません。拘置所内の売店で購入できる商品の一覧表が配布されて、マークシート方式で購入したいものの番号と数量を記入する仕組みです。注文すると2、3日から1週間後ぐらいに届けてくれます。夏の間はアイスクリームも買えます。食べ物だけでなく、衣類や切手、便箋なども買えました。ただし、アルコール類は一切なし。1カ月に1万円ほど使ったでしょうか。
 差し入れの物品も、外部からの持参品は持ち込めないので、売店で取り扱う商品を届けてくれました。商品が届くと、受領した証拠に、左手の人指し指を黒いスタンプ台につけて書類に指印を押します。
 現金は直接所持できないので拘置所で預かってもらいます。購入した後で、看守が購入代金と残金を表にして示し、残高を教えてくれます。

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最終更新:2017/6/7(水) 9:00
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