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【月刊『WiLL』(7月号)より】独占手記 我が「冤罪」169日勾留記

2017/6/7(水) 9:00配信

WiLL

“一人前”に

 入所後しばらくは、寝る時には、室内にある備品は、歯ブラシや歯磨き粉、櫛にいたるまで、朝まで部屋の外に出さなくてはいけません。自分で買ったり、差し入れてもらったりした食品や衣類は、黒いバッグやプラスチックのケースに入れていましたが、それも室外に出さなくてはなりません。夜は寝具のほかに持てるのは、ハンドタオル一枚だけでした。
 それが、8月4日になると、拘置所に慣れて“一人前”になったということなのでしょうか、寝る前に備品を房外に出さなくてもよくなりました。その代わり、洗濯物はネットに入ったまま返されるようになり、半乾きの衣類を自分でハンガーに干して、乾いたらたたまなければならなくなりました。
 一人前になっていちばん変わったのは、トイレの横に、ベニヤ板製の衝立が入れられたこと。それまでは、看守は定期的にまわってきますから、トイレは大も小も丸見えのまま用を足さなければなりません。便器は水洗ですが、温水洗浄便座ではないので、“痔主”の私は、大のときは紙を湿らせて使わなければなりませんでした。欧米人や中国人は、公衆便所の個室は扉がない場合もあるのでわりと慣れているそうですが、日本人は屈辱的と思う人も多いようです。私自身は、「見たいのなら見ろ」と平気でしたけど。
 こうして、8月4日に拘置所での待遇が変わったので、「これで、おれも一人前になったな」と看守に言うと、笑っていました。
 さらに看守に言いました。
── これまで夜に備品を外に出されたけど、歯ブラシぐらいは置いといてもいいじゃないか。
「悪いことをするやつがいますから」
── おれなんか、悪いことをするなんて思ってないだろう?
「それはそうですけど、ルールでそうなっています」
 看守には、いろいろな性格の人がいます。ふきんがボロボロになったので換えてほしいと頼むと、「もっとボロボロになるまで使え」と言う人もいました。彼に頼んでもダメだと思ったので、ほかの人に頼むと、換えてくれる看守もいました。

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最終更新:2017/6/7(水) 9:00
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