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トランプと同じメディアを見続けると、「もうひとつの世界」が見えてきた

6/7(水) 18:12配信

WIRED.jp

「トランプが接しているメディアのレンズを通すと、世界はどのように見えるのか」。そんな疑問をもったUS版『WIRED』のシニアライター、イジー・ラポウスキーは、トランプが普段接しているメディアを数週間かけて追った。その結果みえてきたのは、自分の世界とはまったく違う「もうひとつの世界」だった。

2017年のメディアに何が起きるか?

米国は、重大な危機を迎えている。イスラム教がキリスト教を追いやり、国境地帯には麻薬を売買する犯罪者が跋扈し、退役軍人たちが次々と亡くなっている。無慈悲で権力欲の強い自由主義者たちは、無防備な貧しい市民から銃を奪い取り、公然と戦死者の妻たちを嘲笑している。

その一方で、民主党のスパイがホワイトハウスからそれほど遠くない所に隠れてクーデターをたくらんでおり、トランプ政権の関係者たちを盗聴している。もちろんトランプタワーもだ。ウォーターゲート事件級のスキャンダルが迫りつつある。

この状況で最悪な部分とは? 宣伝工作に長けた“人間以下”の左翼メディアが、こうした危機をまったく報じないことだ──。

これが、わたしが右派系サイト「Breitbart」や「FOX News」、新聞の第一面、大統領のTwitter、そして陰謀説を唱えるアレックス・ジョーンズのブログ/ポッドキャスト「Infowars」など、トランプ寄りのメディアが伝える内容に耳を傾けた結果発見したことだ。

トランプ自身がメディアのことをどう思っているのかはすでにわかっていた。しかし、わたしは彼が接しているメディアのレンズを通すと世界はどのように見えるのか、もっとよく知りたかったのだ。大統領たちも、自分自身のフィルターバブル[関連記事]のなかで生きている。そして、世界で最も力をもった人物がこのような視野の狭さをもったときに、どんな損害をもたらしうるのかが次々に明らかになっている。

オバマ政権がトランプタワーを盗聴していたと報じたBreitbartの記事は、トランプのツイートによって1日もたたないうちに「事実」になってしまった。多くの米国人と同じようにトランプもまた、TVやニュース、ソーシャルメディアによって世界観を曲げられてしまうのだ。

トランプと同じような習癖をもつ人たちは無数に存在する。だがほかの人たちと違い、トランプは誤解を招く偏った物語を政策に反映する権力をもっている。そして少なくとも世界は、トランプが大統領であるゆえに彼の140文字のコメントを真剣に受け取らなくてはならない。現在、トランプ政権は盗聴に関する申し立てに関して議会の調査を要求している。たとえ、その申し立てを裏付ける確かな証拠を大統領補佐官が挙げられていなくてもだ。

トランプ寄りのメディアを数週間にわたって観察するなかで、わたしはトランプと彼のお気に入りメディアの間で交換されるフィードバックの無限ループを目撃した。このループを通じて、憶測は次から次へと際限なく正当化されていく。このような歪んだ視点を通じて世界をみれば、トランプ大統領の盗聴に関するツイートは当然のものに感じられる。これは、合衆国大統領が自分が耳にするあらゆることを信じ、耳障りがよいことだけに耳を傾けているように思われる場合に起こる、論理的帰結を示しているのだろう。

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最終更新:6/7(水) 18:12
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