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都民ファーストの会「選挙参謀」に聞いた都議選の真の「争点」

6/7(水) 16:00配信

週刊SPA!

 6月1日、地域政党「都民ファーストの会」(以下、都民F)が総決起集会を開いた。この日、かねてから「二重党籍」との批判の声が出ていた小池百合子東京都知事は、およそ15年間在籍した自民党に離党届を提出。集会の場で新代表に就任することを高らかに宣言した。

 6月23日に告示される東京都議選(7月2日投開票)を控え、政治的立場を明確にすることで、ライバル自民党への攻勢を強める狙いがあると見られているが、それもそのはず。各社世論調査を見る限り、小池新党の人気に陰りが見えているからだ。5月27~28日に行ったJNNの調査によると、小池都知事を支持すると答えた人が「63%」もいる一方で、都議選での投票先に都民Fを挙げた人はわずか11%……。17%の自民党に大きく水をあけられた格好だが、果たして、再び昨年夏の都知事選のような「小池旋風」を巻き起こすことができるのか? 都民F立ち上げ時に代表を務め、都議選でも「選挙参謀」を務める野田数特別秘書に話を聞いた。

――小池都知事がようやく自民党に離党届を提出し、正式に都民Fの新代表に就任した。都議選に向けようやく臨戦態勢が整ったかに見えるが。

野田:私が都民Fを地域政党化した今年1月の時点で、小池都知事には都議選直前での代表就任を要請していました。当時は小池都知事にとって初めての予算議会が控えていたため、議会に専念することを優先していただいたのです。ようやく候補者擁立や他党との選挙協力、各種団体からの支援取り付けなどお膳立てができたので、晴れて決起大会での代表就任となりました。

――ただ、小池都知事には長らく「二重党籍」を批判する声がくすぶっていた。

野田:小池都知事は、すでに昨年7月の都知事選前に進退伺を出していましたから、むしろ(除名)処分を決められず、「二重党籍」状態にさせていたのは自民党のほうですよ。都知事選で、小池都知事を応援した7人の自民党区議にはすぐさま除名処分を言い渡している一方で、早くに進退伺を出していた小池都知事や、先日自民党を離党した若狭勝衆院議員はお咎めなし……。これでは、完全なダブル・スタンダードですよね? 一般の自民党員の党籍は、通常、党費の支払いを止めた年でなくなる。小池都知事は昨年7月、国会議員を辞職して都知事選に出馬しているため、歳費から自動的に引き落とされる党費の支払いは停止していた。にもかかわらず、自民党は「2017年末までは党員資格がある」と今年になってから急に言い出したのです。彼らは「そういう決まりだ」と言うが、そんなルールがあったのかさえ疑わしい。というのも、その後自民党は「小池は潔くない」といった「二重党籍」批判を熱心にやり始めましたからね。反小池キャンペーンに利用するために、意図的に小池知事の自民党の党籍を残したと考えるほうが自然ですよ。

――都議選は23日に告示日を迎えるが、「選挙参謀」として都議選をどのように戦っていくつもりか。

野田:小池都政はまだ10か月しか経過していませんが、情報公開や待機児童対策、給付型奨学金や知事報酬の半減……など、すでに多くの実績を重ねています。自民党は「小池知事は何もやっていない」などと批判するが、完全なお門違いですよ。都政はこれまで、長きにわたって自民党都連に牛耳られてきました。だが、小池都政に代わって以降、彼らが積み上げてきた「負の遺産」、つまり、市場移転問題や膨張する一方の五輪予算の問題を一気に白日の下に晒したのです。現在、小池都知事がそのすべての問題の尻拭いをしているわけですから、今回の都議選は、当然これら「小池改革」に対する信任を問うことが争点になる。

――豊洲に行くのか? それとも築地にとどまるのか? 結局市場移転問題の最終判断は先送りとなったが、都議選で争点化するつもりはないのか。

野田:昨年11月に発表したロードマップに則って進めているので、行政手続きとして適切な手順を踏んで進めてきました。文句があるならこの時点で批判すべきところ、当時は自民党もメディアも何も言わずに、選挙が近づくと一斉に「遅い」と批判の大合唱です……。小池都政では、積極的に情報公開してきました。「のり弁」と揶揄される黒塗りの公文書を許していたら、一部の人間に都政が乗っ取られてしまうからです。だが、皮肉なことに情報公開を推し進めると意見を集約するのにどうしても時間がかかるようになる。これまでのように、有権者のみなさんに何も知らせず、ブラックボックスのなかだけで物事を決めていけば、反対意見も出てこないが、情報をすべて公開すればいろいろなところから多くの意見が出てくるもの。当然、時間も手間も掛かるわけです。

――メディア各社の世論調査を見ると、ここにきて「小池人気」に翳りが出てきているようにも感じるが。

野田:確かに、新聞社やテレビ局の出した数字を見るとそうですが、私たちが行っている情勢調査では、ありがたいことに小池都知事の支持率は今も70%台後半を維持しています。都議選における政党別の投票先も、都民Fが支持率3割強なのに対して、自民党は1割台。これは「聞き方」の問題が影響していて、政党別の投票先を質問する際、現有議席の多い順から自民、公明、東京改革議員団……と選択肢を示して聞いていきますが、このとき「都民F」は前から数えて5番目になる。この順番を入れ替えれば数字は変わってくるのです。私たちは順番を入れ替えながらあらゆるパターンで調査をしています。メディアの調査は一回につき百数十人から千数百人規模を対象に行われますが、私たちの情勢調査で集めるサンプル数は一回数万人。より精度の高いデータを元に分析しているつもりですし、そうでなければ、2人区に2人擁立するような選挙戦略は立てません。

――だが、市場移転問題や五輪の費用負担問題などが長引いたことで、小池都知事に対して「決められない知事」といった批判の声も出てきている。

野田:五輪の費用負担問題にしても、都が汗をかきながら一歩一歩前に進めてきたところに、「自分たちが差配した」とアピールしたいがために、突然国が横から分け入ってくるような事態が続いています。そもそも、五輪の予算や会場の問題にしても、組織委員会には自民党都議が理事として入っているのに、自分たちが役目を果たさなかったことは棚に上げ、責任を都知事一人になすりつけている。まさに「レッテル貼り」にほからならず、選挙戦では、こうした事実を一つひとつ訴えていくつもりです。

――自身も、アントニオ猪木参院議員の政策秘書を務めていた時期に「公金を横領した」などと『週刊新潮』(5月25日号)に書かれているが。

野田:まったくの事実無根で名誉棄損です。弁護士に依頼し、警察との間で刑事告訴の手続きを進めています。民事訴訟の提起も近々行う予定です。記事によれば約2年半前に猪木氏サイドが私を告訴したようなのですが、そもそも私のところには警察から何の音沙汰もないんですよ。私が解雇されたときも運転手を除いて全員解雇。過去、猪木氏の関連会社の役員も複数解雇されていますが、皆「使い込んだ」とい言いがかりをつけられたのです。しかも全員無実でした。ただ、3年も前の出来事が都議選前のこのタイミングで記事になるということ自体、何らかの意志が働いるとしか思えません……。実は私が猪木事務所を解雇された件は、3年前に今回報じたのと同じ『週刊新潮』が、散々取材をし尽くした結果、猪木氏サイドを批判する記事を載せているのです。同じネタで、今回はまったく逆の論調の記事を書く……。いくら、同誌が「アンチ小池」を売り物にしていても、今回の記事は無理筋ではないか。選挙の直前ですし、政治テロに等しい中傷だと思っています。

――都議選の見通しは。

野田:私たちは政策立案能力の高い人を候補者に揃えました。当然ですが、そのほうが必ず都民の役に立つからです。これに対して、自民党の都議は議会の質問を自分でつくることさえできない。だから、都庁に丸投げして質問の原稿をつくってもらうわけですが、今度は原稿の漢字が読めない(苦笑)。「実は」を「みは」、「節目」を「せつめ」と読む。簡単な漢字の読み間違いは誰にでもありますが、都議会自民は群を抜いている。にわかには信じられないかもしれませんが、驚くほど質が低いのが実情です。都民Fの候補に立法能力を備えた人を選んだのも、議員提案条例の制定を公約に掲げたのも、こうした議会の実情が背景にあります。都議会では、過去25年で議員が提出した議案で成立まで漕ぎつけたのはたったの1本……。しかも、その1本もかつての民主党主導によるものです。長年都議会与党として君臨してきた自民党はいったい何をしていたのか? 漢字も読めない議員に、条例なんてつくれるわけないですからね。

 共産党はこの4年で16本の議案を出しはいるものの、野党の提案はすべて与党に潰されている。果たして、6月23日に戦いの火蓋が切られる都議選の争点は何になるのか? 決戦の日を待ちたい。

取材・文/日刊SPA!取材班

日刊SPA!

最終更新:6/7(水) 16:00
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