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東京のマンション市況 価格の高止まりと金利先高感が支配

6/8(木) 17:00配信

マネーポストWEB

 首都圏の新築マンションは需要の低迷が続いている。その背景には何があるのか、不動産の市況調査を手がける東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。

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 東京都での新築分譲マンションの供給戸数が著しく減っている。2016年の都内の新築マンション分譲戸数は2万9764戸と、前年比で12.5%も減少した。年間の新規分譲の供給が3万戸を下回ったのは2009年以来で、2017年に入っても供給の減少が止まる気配はない。

 その主な要因として、建築コストの上昇により、新築マンションの価格が高止まりしていることが挙げられる。実際、2016年の都内の新築マンション一戸平均価格は6000万円台に突入し、2017年1~3月では7000万円台に達している。

 新築マンション価格が高くなりすぎているため、新規の大型プロジェクトを一時的に止めたり、新規物件の供給を先送りにしたりするデベロッパーも目立つ。

 こうした傾向は15年夏を境に拍車がかかっており、価格の高止まりと供給戸数の減少と需要の低迷の悪循環が現在も続いている。価格の高止まりは利回りの低下につながるため、慎重に様子見をする投資家も多い。

 最近、湾岸エリアのタワーマンションの販売状況が厳しいと報道されている。

 私も「タワマンへの課税強化の動きや、豊洲の土壌汚染問題の風評被害の影響で売れていないのでは?」といった質問をよく受ける。しかし、調査データをみる限り、課税強化の動きや豊洲問題で売れなくなったという変化は現れていない。

 実はそれ以前の段階から、湾岸エリアの新築市場は価格上昇を背景に弱含みの状態にあった。数年前まで200万円台程度だった新築の平均坪単価が、今は350万円に上昇しているような状況であり、売れ行きの鈍化は価格高騰の影響によるものと考える。

 湾岸エリアでは今年、来年、再来年と相次いで新規の大型プロジェクトが控え、最終的には東京オリンピック選手村の供給も予定される。

 当初、東京五輪は新築マンション市場を活性化するプラスの要因として作用していたが、最近はマイナスの要因になり始めている。

「供給過剰になるから、東京五輪後は価格が下がるだろう」と先入観を持つ人が増え、2020年以降まで待ったほうがよいという雰囲気が強まっているからだ。

 こうした先入観の独り歩きは、湾岸エリアに限った話ではない。「今はマンションの買い時ではない」という雰囲気が市場全体に漂っている。また、住宅ローン金利の先高感も購入意欲を削いでいる要因となっている。価格の高止まりと金利の先高感が現在の新築マンションの市況を支配しているといってよいだろう。

※マネーポスト2017年夏号

最終更新:6/8(木) 17:00
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