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【よくわかる講座:コンプライアンス・企業倫理】コーポレートガバナンスにおけるコンプライアンス

6/8(木) 7:30配信

日本の人事部

(1)求められるガバナンスの強化

●CSR(企業の社会的責任)が奨励される

コーポレートガバナンス(企業統治)では、経済的な効率性や業績の向上と、健全かつ適正な業務の運営(コンプライアンス)の双方が求められる。両者の機能は補完関係にあり、一方でも十分に機能しなければ、企業の持続的成長は望めない。つまり、コンプライアンスは、ガバナンスの目的なのである。そして、コンプライアンスを推進していくために、経済界も企業の社会的責任(CSR)への取り組みを奨励している。企業は、その組織活動が社会に与える影響に対して責任を持ち、あらゆる「ステークホルダー(利害関係者)」からの要求に対して、適切な意思決定を行う必要がある。短期的、近視眼的な経営姿勢では、持続的な企業の成長・発展は期待できないからだ。

このような背景から、ガバナンスの向上を目指すために、2015年3月に「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」が「コーポレートガバナンス・コード原案」(CGコード)を公表、同年6月より上場企業に適用されることになった。CGコードの求める規範には、説明や開示が求められており、経営戦略の観点からも、企業に対する社会的な要請、CSRや業界の健全な慣行、企業倫理などを十分に踏まえたガバナンスの強化が不可欠となっている。

また、CGコードには副題として「企業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上のために」と記してある。この副題は、前提として「ステークホルダー理論」を踏まえている以上、株主に対する受託者責任だけではなく、企業倫理やCSRを求めているのは明らかだ。「ステークホルダー理論」とは、消費者、顧客、従業員、取引先、地域社会など、幅広い関係者に配慮した経営を求めるもの。事業目的を実現するためには、さまざまなステークホルダーに対する配慮を欠かすことができないのである。

(2)コンプライアンスのレベル

●「ソフトロー」にも目を向ける

法令やルールは必ずしも万全なものではなく、解釈によってはグレーゾーンが存在する。企業倫理の問題と法律問題の境界線も曖昧であり、不祥事が起きた際に「法令違反はしていない」「ルール通りに行っている」といくら弁明しても、倫理に反する行為が法律問題に発展するリスクは高い。そこで大切なのが、法令の行間や「ソフトロー(非拘束的合意)」に目を向けることだ。ソフトローとは、法的強制力はないが現実の経済社会において、国や企業が何らかの拘束感を持って従っている規範で、業界の自主規制や官公庁のガイドラインなどが当てはまる。その規範は多様な価値観から導かれることを踏まえて、検討する必要があるだろう。

その際に求められるのは、企業社会における倫理である。法例に定めがないとの理由による企業倫理にもとる行動は、法律の不備による抜け穴を突く脱法行為。「訴えられなければ構わない」「見つからなければ構わない」といった違法行動では、広く社会からの信用を失い、マーケットから排除されることになってしまう。

もちろん企業社会のルールは多岐にわたり、複雑な側面があるが、社会的な要請に合致したものであるかどうかを配慮するのは当然のことだ。

(3)コンプライアンスのもたらす効果

●企業価値を高める取り組み

コンプライアンス体制を社内に構築し、適正に運用できている企業は、コーポレートガバナンスの観点から見て優れた企業だと評価される。そのため、コンプライアンスを「企業価値を高める取り組み」と捉える企業が増えてきた。その結果、消費者や取引先から信頼を得ることになり、業績や企業のブランド価値、従業員のモラル、採用競争力などが高まり、株価も安定する。また、法律違反が起きにくい組織風土が形成されることによって、違反の有無をチェックする業務プロセス(管理コスト)も削減できる。経営の原理原則が明確化されることで、意思決定のスピードアップも期待できる。

最終更新:6/8(木) 7:30
日本の人事部

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