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2万円台回復した日経平均にまだ上値余地

6/8(木) 7:10配信

日経BizGate

「トランプ離れ」や「為替離れ」が進行?

 去る6月2日、ようやく日経平均株価が取引時間中の高値と終値で、ともに2万円の大台を回復した。振り返れば、5月7日の仏大統領選で中道系独立候補だったエマニュエル・マクロン氏の勝利が決まり、それを好感した翌8日の日経平均株価は一時1万9929円まで上昇。その後もしばらく高値圏で推移し、5月16日には一時1万9998円と「あと2円足らず」の水準に迫りながら2万円には届かなかった。

 また、5月17日以降は、米政権のいわゆる「ロシアゲート」疑惑が高まったことにより、外国為替市場では一時1ドル=110円台前半の水準まで円高が進行し、同時に日経平均株価も一時1万9449円まで値を沈める場面があった。冒頭であえて「ようやく」というワードを用いたのは、そんな紆余曲折(うよきょくせつ)がこの1カ月ほどの間にあったからである。

 正味のところ、日経平均株価が2万円台に乗せても、「ロシアゲート」の真相が究明されるまでには相当の時間が必要になるといまだ見られており、その先行きは不透明なままである。また、対円でのドルは110円割れの水準で低迷しており、その上値はいかにも重い。

 果たして市場では、俗に言われる「トランプ離れ」や「為替離れ」が進行しているのであろうか。日経平均株価は、今後も2万円台でしっかりと値を固め、一段の上値を追う展開となって行くのであろうか。ここで、あらためて考えておきたい。

2期連続最高益見通しで日経平均株価に上値余地

 まず株価について説明しよう。このところ市場で何より注目されているのは「日経平均株価を構成する上場企業225社の予想EPS(1株当たり利益)の平均が足下で1400円を超えてきている」という事実である。

 6月2日の日経平均株価の終値をもとにはじき出される予想PER(株価収益率)は「14.39倍」であると日本経済新聞に記されており、そのことから足下の予想EPSの平均は1402円と計算される。リーマン・ショック以来の予想PERの中心は14.9倍であるから、単純に「1402円×14.9=2万890円」辺りが日経平均株価のフェアバリュー(妥当水準)と考えることもできる。

 また、5月19日までに2017年3月期末の決算発表を終えた1555社を対象に日本経済新聞社が行った調査によれば、2017年3月期(前期)における上場企業の純利益は前期比+18%と、全体で2年ぶりに増益となり、過去最高を更新した。続く2018年3月期(今期)も2期連続で過去最高を更新すると見込む向きが現状では大勢を占めており、予想される純利益の水準は目下のところ漸増している模様である。どうやら、今期は前期比+8%強の増益になるというのが現在、大方の予想するところとなっているようだ。

 当然のことながら、今後も予想EPSの値は変動し続けるし、その時々の相場全体の勢いによって妥当と見なされる予想PERの水準も変化する。たとえば、仮に予想EPSの値が前期比+10%程度まで上方修正され、相場全体の動きが勢いづいて「予想PER=16倍でも妥当」と判断される局面が訪れれば、その場合の日経平均株価のフェアバリューは2万2800円辺りと見なされてもおかしくない。

 思えば、前期は期中に1ドル=99円まで円高が進んだ場面もあり、期中の平均はおおよそ108円辺りであった。それでも過去最高益を更新したのであるから、国内上場企業は全体に、円高に対する耐性を強めると同時に“稼ぐ力“を高めていると見る向きも少なくない。だからこそ、今回は1ドル=110円台の水準でも日経平均株価は2万円台を回復した。それが、ある意味で「為替離れ」の傾向が株価に見て取れるということになるのかもしれない。

 ただ、やはり円高に対する耐性にも自ずと限度はあろう。また、仮に緩やかながらも円安方向に少々傾く展開となったほうが、一段と日経平均株価の上値余地が拡がりやすくなることも否定はできない。

 一方で、このところNYダウ工業株30種平均(NYダウ平均)、S&P500種平均、ナスダック総合指数といった米株式市場の主要3指数は、連日のごとく市場最高値を更新するといった状態にある。

 件(くだん)の「ロシアゲート」疑惑がにわかに取り沙汰された5月17日には、NYダウ平均が前日終値比で372ドル安と大きく値下がりする場面も垣間見られたが、ほどなく急速に値を戻し、6月に入ると終値および取引時間中の高値が順に史上最高の水準にまで上り詰めることとなった。

 このように疑惑の解明が「まだ、これから」という段階にあるにもかかわらず、足下の米株価が強気の展開を続けていることに加えて、昨年11月の米大統領選から今年3月の上昇局面=いわゆる「トランプ相場」のときと比べて最近の銘柄物色の傾向は様変わりしている。こうしたことが「トランプ離れ」と一部でささやかれるゆえんであり、なかには「ペンス副大統領が大統領になり代われば、よりうまく経済刺激策を実行できるかもしれない」との声さえあると聞く。

 いずれにしても、足下の米株式市場には得も言われぬ楽観ムードが漂っており、その結果としての米株高が日経平均株価の2万円台回復に大きく貢献していることは確かであろう。

 もちろん、目の前に漂う米株式市場の楽観ムードがいつまでも続く保証はないし、むしろ「ロシアゲート」疑惑がこれから市場に牙をむく可能性もないではない。さしあたっては、6月8日に予定される米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官の公聴会において米大統領が窮地に追い込まれるようなことになっても、なお米株式市場の強気に変化はないかどうかを、しっかり見定めることが必要である。

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最終更新:6/8(木) 7:10
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