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巨人が球団初の12連敗、「紳士たれ」は若手成長の弊害?【小宮山悟の眼】

6/8(木) 11:05配信

ベースボールチャンネル

 巨人が83年の歴史に不名誉な記録を刻んだ。7日は西武に完封負けし、球団史上初の12連敗。エース登板、打線変更、新戦力投入――。采配はことごとく裏目に出て、深みにはまる球界の盟主。長いトンネルの出口はどこにあるのか。

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何やっても空回り、「紳士たれ」は重荷か

 巨人が12連敗を喫し、ついに球団ワースト記録を更新した。チームの歯車がかみ合っていないと見ていいだろう。球界の盟主に何が起きているのか。

 最近の成績が示すように、チームは最悪な状態だ。苦しいときは何をやってもうまくいかず、空回りすることがある。巨人は、いまはまさにそんな状況に陥っている。
 
 うまくいかない要素の一つとして、チーム内の空気があると思う。
 これまで、巨人は「常に紳士たれ」というスローガンのもとでチーム作りを進めてきた。今、その言葉が選手を締め付ける一因になっている。

 昨年オフ、巨人から日本ハムに移籍した大田泰示を例に挙げる。巨人時代はなかなか日の目を見ることのなかった大田だが、日本ハムに移籍後は存在感を発揮している。日本ハムは、選手が自分で考え、のびのびプレーする環境を作っている。大田はその環境に身を置いた途端にブレークを果たした。

 この事実は、若い選手たちにとって、「巨人軍は紳士たれ」の言葉が足かせになっていることを示しているのではないか。巨人の選手は、締め付けられた中でプレーをしているように見えてならない。これでは、プレーに思い切りの良さは生まれてこない。

 首脳陣の仕事は、選手が能力を発揮できるような環境を作り、提供することだ。打てない、抑えられない、勝てない理由を探り、改善するために、巨人の首脳陣は色々と手を打っているとは思う。すべてがうまくいかない現状を変えるには、選手が力を発揮できる“空気”を作っていくのが得策だろう。

10戦で5勝のイメージ

 巨人には伝統や歴史があり、ファンも多い。そのため、一つの負けも許されない雰囲気がある。どの試合でも全力を尽くし、常に勝つことを求められている。しかし、そもそも全戦全勝しようというのが間違いなのだ。

 私がロッテでプレーしていたとき、当時のボビー・バレンタイン監督が選手たちに言っていた言葉を思い出す。
「10戦したとしたら5勝5敗のイーブンでいい」。イーブンペースを守ろうとすれば、ちょっとしたことで一つ多く勝てて6勝4敗になる。つまり貯金ができる。7勝3敗を目指しちゃうとダメになるが、イーブンペースでいいという気持ちで戦っていくと貯金ができていくのだと。

 1球団あたりの年間試合数は143試合。10試合のうち5勝5敗ペースを6勝4敗にできるサイクルが6、7回あった場合、貯金が12~14できる。そう考えると間違いなくAクラスに入れる。

 もちろん、巨人軍にのしかかるプレッシャーは重く、このイーブンペースの考え方は許されないかもしれない。ただ、ボビーが言っていたようなマインドになることもテーマの一つとしてもいいと思う。

 いまさら、テクニカルな面が劇的に良くなることはない。誰しも完璧な戦いを目指したくなるが、それをできる選手ならやればいい。しかし、できない選手がやろうとしてはだめだ。

 現在の巨人は12回も続けて負けたから、これからの10試合は全て勝たなきゃいけないという空気感になっているだろう。10連勝するのはそう簡単ではない。まずは5勝5敗から始めるのが大事だ。

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