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「自動操縦」が切れた錦織圭。マリーは退屈なドリル練習で蘇っていた

6/8(木) 14:54配信

webスポルティーバ

 強打をコーナーに打ち分け相手を左右に走らせた後、弓の弦を引き絞るような大きな構えから、突如としてラケットを優しく振り下ろす――。その瞬間、ボールを打つよりも早く客席から溢れる、ため息混じりの称賛と感嘆の声。

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 全仏オープン準々決勝の錦織圭vs.アンディ・マリー(イギリス)戦。錦織が世界1位を完全に翻弄した第1セットは、最後はドロップショットで柔らかく終止符が打たれる。試合開始からわずか33分、スコアは6-2。番狂わせが起こる予感に、強風が吹き抜けるセンターコートは、どこか落ち着きを失っていた。

 しかし試合の潮流は、第2セットの序盤から徐々に……しかし確実に、変化の兆しを見せはじめる。第4ゲームで立て続けにミスを重ねた錦織は、最後はダブルフォルトでゲームを失い、そのままセットも失った。

 第3セットは一進一退の攻防となるが、タイブレークの最初のポイントでフォアを大きく打ち損じ、続く打ち合いでバックをネットにかけた時点で、勝負の綾は一気に世界1位へと流れ込んだ。

「1セット目はすごく落ち着いて、作戦どおりに自分のやるべきことを的確にできていた」

 試合後の会見室で悄然としながらも、錦織は冷静にゲーム展開と、そのときの心境を振り返る。

「これ以上ないプレー内容と結果がついてきたが、2セット目以降から少し焦りだしたのと、最初のゲームを落としたところからちょっとずつリズムが狂い始めて……。自分に焦りが出て、少しずつ、やらなくてはならないことをできなくなっていた」

 その「焦り」がもっとも顕著だったのが第3セットのタイブレークだが、その前の第11ゲームもまた、いくつかの判断ミスが原因で落としたものだろう。

 最初のポイントでドロップショットをネットにかけると、続く打ち合いではフォアの打球を大きく浮かす。最後のポイントは打つべきコースを悩んだか、ラケットを離れた打球はネットの下のほうを叩いた。結果的には直後のゲームをブレークして追いつくも、この時点で精神的に「いっぱい、いっぱい」だったことを、後に彼は認めている。

 錦織が再三、この日の敗因として繰り返した「焦り」――。それは実は、マリーも大会前に抱えた悩みであったことを、錦織戦後の会見で奇しくも彼は明かしている。何しろマリーは全仏直近の2大会を、マドリードでは3回戦(1回戦免除)、ローマでは初戦(1回戦免除の2回戦)敗退という大きな不安を残す結果で終えていた。

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