ここから本文です

788Mbps対応スマホも! NTTドコモが2017年夏商戦向け新商品を発表 

6/8(木) 16:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 NTTドコモは2017年5月24日に東京と大阪で2017年夏 新サービス・新商品発表会を開催した。通信速度をさらに高速化する計画を明らかにし、それに対応する新商品も発表された。

⇒【資料】NTTドコモが使用する周波数と1搬送波あたりの通信速度

◆通信速度は788Mbpsへ

 NTTドコモはLTEを高度化したLTE-AdvancedによるサービスをPREMIUM 4Gとして提供しており、2017年8月以降に通信速度を受信最大682Mbpsから受信最大788Mbpsに高速化する計画を明らかにした。なお、受信最大682Mbpsは日本の携帯電話事業者が提供するデータ通信サービスの通信速度としては最速であり、NTTドコモはさらに日本最速を更新する。

◆3種の技術を駆使して最大788Mbpsを実現

 受信最大788Mbpsはキャリアアグリゲーション(CA)、256QAM、4×4 MIMOを同時に適用して実現する。なお、NTTドコモがLTEで使用する周波数はFDD-LTE方式が2GHz帯(Band 1)、1.7GHz帯(Band 3)、1.5GHz帯(Band 21)、800MHz帯(Band 19)、700MHz帯(Band 28)、そしてTD-LTE方式が3.5GHz帯(Band 42)である。

 CAは複数の搬送波を束ねて同時通信する技術で、NTTドコモは複数の組み合わせでCAを実装するが、受信最大788Mbpsでは3搬送波を束ねる。具体的には1.7GHz帯の1搬送波と隣接する3.5GHz帯の2搬送波を束ねたCA_3A-42Cの組み合わせだ。256QAMは従来の64QAMと比較して1度に運べる情報量が6ビットから8ビットに増える。4×4 MIMOは基地局側と端末側で4本ずつのアンテナを利用してデータを多重で伝送する技術で、従来の2×2 MIMOより通信速度の大幅な高速化が期待できる。3搬送波のうち256QAMは全搬送波で適用し、4×4 MIMOは3.5GHz帯の2搬送波で適用する。

 CAの組み合わせや256QAMおよび4×4 MIMOは受信最大682Mbpsで適用した技術と変わらない。ただ、4×4 MIMOの伝送モードを最適化したことで3.5GHz帯は1搬送波あたり受信最大241Mbpsから受信最大294Mbpsとなり、結果として受信最大682Mbpsから受信最大788Mbpsへの高速化を実現できる。

 NTTドコモが使用する周波数と1搬送波あたりの通信速度は表の通り。

 なお、NTTドコモが使用する1.7GHz帯は1.7GHz帯 東名阪バンドであり、一部の地域を除いて、俗に東名阪エリアと呼ばれる総務省の関東総合通信局、東海総合通信局、近畿総合通信局の管轄区域内で使用できる。したがって、東名阪エリア以外では1.7GHz帯を使用できないが、ほかの周波数を使用して2017年8月以降に受信最大632Mbpsから受信最大738Mbpsに高速化する計画である。

◆新周波数に対応した機種は?

 受信最大788Mbpsは2017年3月に発売されたNECプラットフォームズ製のデータ通信製品「Wi-Fi STATION N-01J」のほか、新たに発表された3機種のスマートフォン(スマホ)が対応する。

 韓国・サムスン電子製のGalaxy S8+ SC-03J、シャープ製のAQUOS R SH-03J、ソニーモバイルコミュニケーションズ製のXperia XZ Premium SO-04Jが受信最大788Mbpsに対応するスマホである。これら3機種はチップセットにQualcomm Snapdragon 835 Mobile Platform (MSM8998)を採用し、LTE DLカテゴリ16およびLTE ULカテゴリ3に対応している。

 これまで3.5GHz帯に対応した端末はデータ通信製品のみであったが、初めて3.5GHz帯に対応したスマホが登場した。3.5GHz帯に対応したスマホはNTTドコモと同じく2017年夏商戦向けにKDDIおよび沖縄セルラー電話、ソフトバンクからも発表されたが、細かい発表日や発売日を無視すれば、これらが世界で初めて3.5GHz帯に対応した商用スマホとなる。

 NTTドコモが提供するデータ通信製品では受信最大682Mbpsが最高速であるが、従来のスマホでは受信最大500Mbpsが最高速であったため、3.5GHz帯に対応したスマホの登場でスマホの通信速度が大幅に高速化することになる。

 Galaxy S8+はサムスン電子が国際展開しているが、3.5GHz帯はNTTドコモ向けと、KDDIおよび沖縄セルラー電話向けのみが対応する。

 サムスン電子の日本法人・サムスン電子ジャパンの担当者によると、3.5GHz帯を使う携帯電話事業者は少ないが、日本では使われているため対応したという。また、Galaxy S8+ SC-03Jより小型のGalaxy S8 SC-02Jは3.5GHz帯に非対応であるが、筐体内部のスペースの都合上、3.5GHz帯に対応させることは難しかったという。

 実際に世界各地で3.5GHz帯の割り当てが進んでいるが、3.5GHz帯の運用を開始した携帯電話事業者は依然として世界的に少ない。そのため、3.5GHz帯に対応した最初の商用スマホは日本で発売されることになった。

◆新旧の速度比較も披露

 NTTドコモの関西支社は大阪会場で3.5GHz帯を利用できる環境を整備し、スマホの新機種と旧機種で通信速度を比較できるコーナーを用意した。

 ほかの展示機を含めて多くのスマホがネットワークに接続しており、最高の環境というわけではないが、同一メーカーの新機種と旧機種を並べて実測値の比較が行われた。実測値は理論値ほど出るわけではなく、また環境により大きく左右されるが、会場では新機種が旧機種より2~3倍ほど速い記録を出していた。環境が良好でなくとも理論値が速ければ実測値もある程度の速度が期待できるため、混雑時なども安定した通信が期待できる。また、3.5GHz帯に対応したスマホが3.5GHz帯を使うことで、既存の周波数は混雑緩和も見込めるという。

 NTTドコモは2020年に商用化する計画の第5世代移動通信システム(5G)に向けて、さらなる通信の高度化を計画している。4搬送波を束ねたCAや3.5GHz帯以外の搬送波で4×4 MIMOの適用なども検討されており、通信速度が1Gbpsに到達する日も決して遠くはない。

 一方、通信速度の高速化は受信のみで、送信に関しては従来と変わらず最大50Mbpsで、送信の高速化は検討中と回答するにとどまった。SNSへのファイルのアップロードや動画配信などで、送信のデータ通信量は増加傾向とされており、送信の高度化も期待したい。

<取材・文・撮影/田村和輝>

ハーバー・ビジネス・オンライン